退職勧奨を受けているということは書いた。この度、使用者(会社)との合意がまとまった。合意した内容を書くことはできない。そこで、合意に至るまでの思考を書いていく。


 まず、退職勧奨で使用者が示してきた金額と自分が考える落としどころ決める。目安は勤続年数1年を1ヶ月分と換算とする。たとえば5年勤務なら月給の5ヶ月分が特別退職金だと考える。勤続年数が3年に満たない時は3ヶ月分とする。ただ、そこに落とすためには、最初に労働者が使用者に対して主張する金額は、その2倍が良い。

 1年=1ヶ月分をアンカーにしつつ、あとは細かく追加していく。それは個別の要素を考えなければならない。そして、あるポイントで妥協する。使用者がかろうじて合意してくる金額を推測して、労働者側の合意許容な妥協点をもって、交渉に臨む。感じとしては3ヶ月分と考えて良い。1ヶ月分が解雇予告手当、1ヶ月が年次有給休暇の買取分、1ヶ月が賞与放棄分だ。たとえば5年勤務して、退職勧奨された場合は、5ヶ月分に、この3ヶ月を足して、8ヶ月分を最低額として心に決める。


 これを越えると、使用者は整理解雇を強行してくると考えて良い。使用者にとっては、労働裁判で解雇無効の判決が下されると、その労働者に給与を払い続けることになる。このリスクを受容してでも、使用者は整理解雇をするだろう。


 退職勧奨から整理解雇へ進む場合の労働者にとってのリスクは次のようなものだ。

・ 給与の支払いが途絶える

・ 整理解雇では特別退職金がゼロとなり、30日分の解雇予告手当だけが支払われることになってしまう。

・ よって、法的手続(労働訴訟等)に進むことは必至で、解決まで長期間を要する

・ 労働訴訟では代理人弁護士に委任するが労働者はこれに慣れていない

・ 法的手続中に次の就職先が決まって、意義を無くしてしまう

・ 飽きてしまう

・ 使用者が倒産してしまう


ここに書いたのは退職金が無い場合である。退職金が無い企業は多くある。


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