「コーク一族」米大統領選の命運を握る大富豪ファミリーの正体
 古村 治彦

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全米第二位の規模





コーク一族。いま、アメリカでもっとも注目を集めている大富豪ファミリーだ。積極的に政治に関与していく姿勢を見せる彼らの動きひとつで、大統領選の結果も変わると言われるほどだ。全米でベストセラーとなった『コーク一族 アメリカの真の支配者』。日本版の訳者である古村治彦氏が、その歴史と政治力について解説する。

政治にカネは付きもの。政治活動にはカネがかかる。政治家たちは常にカネを欲し、彼らを意のままに動かそうとする個人や団体は金を提供する。これは、世界中どこでも同じだ。だが、世界覇権国アメリカともなると、そのスケールははかりしれないものがある。

アメリカ大統領選挙は選挙区が全米となり、民主、共和両党の予備選挙から本選挙にかけて、およそ2年の長丁場を戦うことになる。その地理的広大さと時間の長さのため、11月に行なわれる本選挙までに、総額で10億ドル(1200億円)超とも言われる巨額の選挙資金が必要で、各候補者たちは資金集めに躍起となる。

インターネットなどを通じた小口の寄付から金持ち層からの高額の献金まで、ありとあらゆる方法で金をかき集めようとする。政治資金の集まり具合で、候補者たちの勢いを測定することもできるし、献金が集まらず、泣く泣く撤退する候補者たちも多く出る。


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さて、アメリカ大統領選挙がいよいよ本格化するが、政治資金に関して、アメリカで注目を集めているのが大富豪・コーク一族の次男チャールズと三男デイヴィッドだ。彼らは「コーク兄弟」と呼ばれ、マスコミを賑わせている。

彼らが経営しているのは、非上場の大企業「コーク・インダストリーズ」。1940年創業で、石油、化学、日用品の総合企業だ。日本ではあまりなじみはないかもしれないが、その規模は、非上場企業では全米第2位の規模を誇る。

2013年の売り上げがグループ全体で1150億ドル(約13兆8000億円)もあり、従業員数は約10万人。コーク兄弟の資産は、それぞれ約220億ドル(約2兆6000億円)と言われている。彼らの資産の過半はコーク・インダストリーズの株式だ。