臨死体験が研究者の間で大いなる議論を呼ぶようになったのは、臨死体験を経験した患者が生と死のはざまで彷徨っている時間が長くなったということではなく、臨死体験を経験する患者の数が圧倒的に増えているということからです。

臨死体験者のうち、体外離脱の体験を有している人々は、さらに深い問題を提起しています。

懐疑的な唯物論者たちは、臨死体験を経験した患者が見たという「まばゆい光」や「天使の存在」、「光のトンネル」を説明しようとしません。
死に際にある脳の仮説では、そうしたことを説明することはできないからです。

しかし、他の可能性があります。

これは、ケンタッキー大学からの最近の研究が仮定していることですが、おそらく血中に過剰な二酸化炭素が入り込むと、睡眠障害や眼球急速運動(REM)によって臨死体験に似たような状態を引き起こすことがあるかもしれない、という実例です。

そうした混乱の中では、人の心が肉体から起き上がると感じられる場合があります。
つまり、肉体から物理的に離脱するという幻覚が生じるのです。

心停止状態では、肉体のもっとも基本的な機能をコントロールし、高次脳から独立して作動している脳幹領域へのREM侵入の引き金になる可能性があるのです。

その結果として生じる臨死体験とは、実際に夢のようなものになるでしょう。
しかし、その仮説では、臨死体験中に、今まで見たことがないものを見たという報告をする人々を説明することはできません。

パーニア医師の報告には、こうしたものもあります。
ある患者が心停止状態になったとき、いったん総入れ歯を外されたのですが、意識を取り戻してから看護婦が取り外した彼の入れ歯を探そうとしても見つからなかったのです。
しかし、その患者は自分の入れ歯がどこにあるのか知っていたのです。

おそらく確証のとれたケースの中で、もっとも有名な事例は、ボーレガードも引用していますが、マリアという名前の出稼ぎ労働者のした体験でしょう。
その物語は、彼女の救命救急診療を担当したソーシャル・ワーカー、キンバリー・クラークによって記録を取られています。

マリアが心停止状態から蘇生したその日、自分が天井から部屋を見下ろしていた体験をクラークに語ったのです。
彼女は、(臨死体験の中で)気がつくと病院の外にいて、建物の3階の北側の窓から突き出た棚の上にテニスシューズが置いてあるのを見つけました。

彼女はそれについてクラークに詳細に記述しました。
マリアは、特段、驚いた様子もなく、3階の北側の窓の棚の上に本当にテニスシューズが置いているのかどうか、確かめに行ってくれるようクラークに頼みました。
そして、クラークは、マリアが言ったとおり、その場所にテニスシューズが置いてあることを確認したのです。

こうした臨死体験をした患者の報告は、ますます増えており、医療の現場でも看過できない状況が生まれています。

東大病院の集中治療部長、矢作直樹氏は、多くの救命医療に携わった経験から、このように言っています。

「いわゆる臨死体験を患者の口から聞くこともあります。光を見た体験などを語るのです。脳内ホルモンの作用で説明されることがありますが、それだけで説明し切れない場合もあります。
肉体は滅んでも霊魂は永遠である。亡くなった人の霊に、いつも自分は見守られている。そのように考えれば、生きている限りは感謝の気持ちを持って生きられ、死に直面してもあわてずに済むのではないでしょうか」。(メルマガ20号に詳述)

また、明治大学情報コミュニケーション学部教授、石川幹人氏は、臨死体験を体験しそうな状態であったのに体験しなかった患者と、実際に臨死体験をした患者とで、気持ちの変化を比較したケネス・リングの調査結果を引用しています。

「前者の人々は総じて、命の大切さを再認識し、目的意識が芽生え、物へのこだわりが減り、他者への思いやりが高まった。
後者の人々は総じて、信仰心が高まり、死への恐怖が減り、死後存続の信念が芽生え、生まれ変わりを許容するようになった」。

英国のDaily Mailでも、
Tunnels of light. Meeting with dead loved ones... the truth about near-death experiences
「光のトンネル-亡くなった愛する人との再会…臨死体験の真実」と題して、いわゆる「あの世」、「来世」について、脳の最高権威の理論を紹介しています。

脳と意識の関係を解き明かすことができれば、おそらく戦争はその大義を失うでしょう。他国を侵略して領土を拡張しても、いずれすべての人が行く死後の世界では、何の意味もないからです。

差別や不平等が幻影であることが分かるだろうし、権力や権威さえ虚しく遠吠えするだけでしょう。
宗教的対立が、実はそこから利益を得ようとしている一握りの人々の姦計であることもはっきりするでしょうし、何より、まがいものの神仏は駆逐されるでしょう。

しかし、なぜ私たちは、こうした不可知の世界から遠ざけられているのでしょう。
封印が解かれるのは、いつのことなのか。












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