竹内氏によると、歴代の武内宿禰は祭主・神主であると同時に、「記録媒体のようなもの」だという。一族の中からひとりが選ばれ、密かに霊嗣之儀式を執行する。それ以降、その人物は武内宿禰となる。その際、第1世武内宿禰の霊を自らの中に入れるとともに、歴代の武内宿禰の記憶や秘密をすべて受け、伝えられるのだという。
 この武内宿禰の霊脈、正統竹内家の血脈、そして竹内神道が極秘口伝として継承してきた「秘儀・奥義の神法」という法脈の三脈を引き継いだ者、しかも鏡(知=歴史)、玉(仁=祭祀)、剣(勇=武術)を兼ね備えた者が、武内宿禰なのである。

 竹内神道は秘密神道なので、家族ですらその内容、またそれに関わったことさえ、語ってはいけないことになっているという。ということは、口伝継承しても門外不出であり、他者に知らせることもできないのだ。
 長老たちから「武内宿禰」を襲名しろといわれたとき、竹内氏は大いに戸惑った。受けるべきか、受けないで普通の人間として生きるべきか。そのように悩める若き竹内氏に、決定的な出来事が起きた。それは、霊夢による明確なメッセージであった。


心安らぐ自然に抱かれて、竹内氏が眠る前方後円墳の全景。家人や有志たちの努力によって、氏の生前からの願いがかなえられようとしている。
竹内睦泰の生い立ちと神秘体験

 ある日、竹内氏は鮮明な夢を見た。
 その夢の中で「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」らしき女性が現れ、竹内氏に水晶玉のような石を渡して、飲むように勧めた。その玉はビー玉ぐらいの大きさなので、「喉につまりそうで嫌だった」のだが、彼はなぜかいわれたとおりに飲みこんだ。すると玉が体の中で融けて液状となり、体全体にその液体が広がるのを生々しく感じたという。
 夢から覚めた竹内氏は狼狽した。夢が、まるで実際に体験したかのように超リアルであったからだ。「嘘だ。これは願望夢だ」と否定したが、それからというもの、夢の中で次々と神道の修行が始まるようになった。しかも、自分が知り得ない知識を夢の中で教えられるのである。夢から覚めて、その知識を本などで確認すると、まさにその通りのことが載っていたというようなことが頻繁に起きたと竹内氏はいう。

 さらに不思議なことに、5〜10分ほどしか眠っていないはずなのに、夢の中の修行の時間はもっと「異常に長かった」と竹内氏はいう。数分が何日にも感じられることが度々起きたらしい。
 夢の修行を続けるうちに現実の世界でも、竹内氏の身に不思議な変化が起きはじめた。昼間でも満天の星が見えたり、体中に金粉が噴きだしたりするようになったのだ。神主としての能力が発現しはじめたのである。もはや後戻りはできなかった。
 その神秘体験の前後、竹内氏は長老家に対して正式に、後南朝小倉宮家の祭祀を継承する第73世武内宿禰になることを伝えた。
 密儀は、とある山の中でひっそりと行われた。竹と筵のようなもので作られたテントのような「社(やしろ)」で竹内氏は、3代100年以上に渡り途絶えていた「霊嗣之儀式」を執行した。
 そのテントのような社はあとで「天地元根造」という、もっとも古い形の社であったと知らされた。この密儀を執行したことにより、竹内氏は正式に後南朝の人間になったのだという。

 当時のことを振り返って竹内氏は、次のように語っている。
「今思うと、あの天照大御神がくれた玉は、私自身の『意志』だったのかもしれない」
 玉は、脈々と続く武内宿禰の「意志」そのものであったのだ。










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