彼はカリフォルニアに住む友人の事を思った。いま彼は何をしているのだろうと考えた。すると、レスターはその友人の家のリビングルームにいたのである。彼はその部屋や部屋にいる人達、その人達と友人が座って話しているのを見ることが出来た。レスターはすぐにその友人に電話をした。「君がどうしているかと思ってね、電話をしたんだよ」レスターは言った。「君はいまリビングルームにいて、3人の人がそこにいるね…」彼はその部屋の詳細、そこにいる人、いまその人達と何を話していたかを友人に話した。レスターは受話器の向こう側でハッと息を呑む音を聞いた。そしていま自分が話した事は事実かどうか尋ねた。

その友人は答えた。「その通りだよ。でも、一体どうして君にそれが分かったんだい?」

笑いながらレスターは言った。「オレはそこにいるんだよ。君には見えないのかい?」

長く沈黙が続いた。レスターはパニックになるのを感じ、又、いま感じているパニックは友人が感じているものだと驚きながらも分かったのである。
彼はまるで友人の内部に存在しているかのように感じた。その友人と同じように感じ、考えているように感じたのである。これは全く新たな経験だった。そして、突然彼は友人に変わったのである。事実、彼は他の人全てだったのである。なぜなら、彼の核の部分は全ての核であったからである。

彼は宇宙という櫛の根に座っていたのである。彼は新しい視点を持ち、あらゆる事をそこから見る事が出来たのだ。

その友人の恐怖をやわらげるため、彼はこう言った。「おい、やめてくれよ。オレをからかってるのかい?オレがそこにいる人の事や誰が何を言ったのか話した時、君は冗談を言う権利がオレにあると言わなかったかい?まさか本当だったという訳じゃないだろう?」

友人が次のように答えている時に、レスターは友人のパニックが治まってくるのを感じた。「レスター、君はなんて奴だ。今までの話は皆君の作り話だったとでも言うのかい?」

「もちろん、全部オレが作ったのさ。オレを何だと思ってるんだい?気が違ったとでも思ったのかい?全部ジョークだよ」

「いや、実際しばらくはそう思ったよ。君が話した事は全部本当だったから」友人は今では笑っていた。

「おー、それはファンタスティックな偶然だね」レスターは言った。
「さあ、君の仲間に君を返さないとね。ニューヨークに来た時は電話してよ。飯を食いにいって、またこの話をして笑おうぜ」

「分かったよ、レス。またな」

これからはもうちょっと気をつけなければと思いながら、レスターは電話を切った。人は非常に狭い条件でものを考え、非日常的な事は受け入れられない事を彼は忘れていたのだった。

突然、彼はほんの数ヶ月前の自分自身について思い出した。このような事を彼に話そうとする人間を皆狂人だと彼は考えていたのだ。何て凝り固まっていたのか、何て器量が狭かったのか、如何に制限されていたのか・・そして今、彼はこの自分の変化に高笑いをするのだった。

『私が探求を始めた時、私は非常に確信を抱いた唯物論者でした。私にとってリアルなものは見る事、感じる事、触れる事が出来るものが全てでした。
私の世界はコンクリートのように頑丈なものでした。
それから、この世界は自分の心の結果なのであるという事、ものには知性がなく、私たちの知性と想いは全ての物質とそれに関わる全てを決定づける事、これらの啓示を受けた時、私が以前抱いていた堅実性はただの考えだと分かり、頑丈なコンクリートの基礎はひび割れ始めたのです。
今まで築き上げてきたものはひっくり返り、私の体はショックに次ぐショックを受けました。それは何日も続きました。私は神経質な老人のようにショックを受けていたのです』

『この世界を頑丈であるという視点に再び変わる事は決してないと私には分かりました。しかし、そう簡単には優雅に消えていってはくれませんでした。私があらゆる事を揺さぶっていると思うまで、数日の間、私は実際に動揺しました』

『それから、私の視点は数ヶ月以前のものとは正反対になっていました。リアルで頑丈なものは物質世界ではないと。精神でさえないと。そういったものよりも遥かに偉大なものであると。それは私の本質(エッセンス)であり、私の真の存在こそ現実で、そこには限界はなく、永遠で、私が以前自分だと思っていた全ての事、例えば体や心は、私の全てというよりも、ほんの微細な部分に過ぎないのです。その私の全てが私の存在なのです










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