「百匹目の猿現象」はどのようにして都市伝説化したのか | カレイドスコープ
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一時期、世界的に有名になった日南海岸の幸島(こうじま)。
この島の猿はサツマイモを海水で洗ってから食べます。

最初、一匹の猿から始まったこの行動が群れ全体にひろがり、それが100匹を超えたときに、遠隔地の猿にも同じような行動をする猿が現れ、やがて全世界に広がっていく、というのがオカルト・ニューエイジャーが「百匹目の猿」と名付けた現象。

これは、完全な与太話であることが証明されているにも関わらず、相変わらずスピ系はこれを広めている。


「百匹目の猿」現象を見ることができるという島へ向かう

「洗脳を解くためのあること」に導くために、今更の感はあるものの、ここに格好のケーススタディーがあるので書いておきましょう。

それは「百匹目の猿」現象・・・一度は聞いたことがあるはずです。

誰が与えたのか、あるいは畑から盗んできたのか、一匹のニホンザルが手に入れた芋を食べる前に海水で洗ってから食べるようになった。

すると、その芋洗い行動が群れ全体に広まって百匹目を超えたときに、その群れからはるか遠く離れた地でも同じような現象が現れ、まるでテレパシーのように次々と広まっていく、という都市伝説です。

いわゆる、スピリチュアル系と言われるライターが書籍や雑誌に書いたり、テレビのバラエティー番組でも取り上げていたので記憶に残っているでしょう。

その発祥の地が、宮崎県・日南海岸の幸島(こうじま)だというので行ってみましょう。

7月9日、鹿児島からレンタカーのプリウスで串間、都井岬から国道448号線を宮崎方面へ北上します。
ここに来るまでは鹿児島の甑島(こしきしま)列島にいました。ここでは暴風雨にやられました。

カーオーディオからは、主に、九州・中国地方を襲った歴史的集中豪雨によってもたらされた被害の続報が入ってきます。

鹿児島でも、あちこちの河川が氾濫し崖崩れが起こっていましたが、448号線は通行止めになっていませんでした。(各画像をクリックで拡大)

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さすがに車は走っていません。
波の高さは2mほど。大分、波も収まってきました。

崖の上に差し掛かると強風をまともに受けるので注意です。
徐々に高度を下げていくと、右手下に幸島が見えてきます。

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ここが、「百匹目の猿」発祥の地とされている幸島です。
手前の防潮堤のお陰で、一帯は比較的穏やかです。

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子ども連れの夫婦以外には誰もいません。
画像では、夫婦がいるところを回り込んだ向こう側にある入り江にサルが集まっているようです。

海が穏やかであれば渡し船が出ているので島に渡ることができます。
そうすれば、サルのイモ洗いを間近で見ることができます。

予想はしていましたが、この海の状態ですから渡し舟は出ていませんでした。

で、せめても「アレ」を探すことにしました。
「アレ」・・・

知る人ぞ知る、「コレ」です。
「百匹目の猿現象発祥の地」と刻まれた石碑です。

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(画像は、こちらのブログから拝借)

数台駐車できる駐車スペースの向こうにあるはずでしたが、ありません。(下の画像)

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移設されたのかと思って、防潮堤から歩いてみましたが、どこにもありませんでした。

完全に撤去されたのです。

ここに来る道中の真新しい案内板にも「文化猿の島」になっていました。いっせいに付け替えたようです。

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一時期、あれだけ書籍、雑誌、新聞で騒がれた「百匹目の猿」伝説は完全に消去されたのです。

出版社、新聞、テレビ、教師までもが「百匹目の猿」を広めた

当時は、小学校の先生までもが教材にしようと、「百匹目の猿」現象を児童に話して聞かせていました。

彼らは、それだけにとどまらず、こうした超常現象が実在する証拠だとして自身のブログでも紹介していたのです。

もちろん、懐疑的な教師の方が多く、ネット上で広めていた熱狂的な教師は、オカルト大好き人間でした。

真相が判明すると、こうした教師たちは慌ててブログ記事を削除してしまいました。

将来のある児童に教えている教師であれば、せめても「あれは私の間違いでした」くらいのコメントを残してもよさそうなのですが・・・

といっても、ハフィントン・ポストでさえ、事実が分かってからも訂正することなく、「百匹目の猿」礼賛の記事を残したままにしている始末。

それだけでなく、多くのブロガーも記事を訂正するでもなく、そのまま放置しています。

もっとも、ハフィントン・ポストは、2016年07月04日の「ボトルボイス」の記事を転載しただけと言うでしょう。

この記事の執筆者は、メンタル心理カウンセラーですと。お笑いです。
ハフィントン・ポストなんてのは大笑いです。

案の定、「ボトルボイス」とは、スピ系心理カウンセリングをプロモーションするために立ち上げたサイトだということです。

それにしても、商売につながれは何でも有りとはいかがなものか。

如何わしい心理カウンセラーを信じる方にも問題ありですが、それ以前に、嘘を平気で吹き込む心理カウンセラーの正体を暴いてもいいんじゃあないんですかね、ということ。

この小学校教師から始まって、書籍、雑誌の執筆者、ブロガーたちは、例外なく、いわゆるスピリチュアル系の人々です。

そう、あっせんしょ~んの伝道者であり、ポットンベンジョ、もといフォトンベルト宗教の信奉者であり、UFO大好きのニューエイジ病の患者たちです。

幸島の猿は、いったいどこからサツマイモを手に入れて、これを海水で洗うようになったのか・・・

もちろん、この島で自生のサツマイモなどあるわけがありません。

この島で、最初にサツマイモによる餌付けに成功したのは京都大学の研究チームでした。1952年のことです。
野生の猿の生態を研究するためでした。

そのうち、何者かが「百匹目の猿」を都市伝説としてストーリー化して広め出したので、地元の人は、普段であれば、都井岬から幸島を素通りして鵜戸神宮に行ってしまう観光客をつなぎとめることができるのではと、色気を出したのかもしれません。

第一、幸島の猿はイモ洗いすると言われていますが、この動画を観る限り決してそうは見えません。(画像クリック)

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おさるさんは、サツマイモを洗っているのではなく、海水で塩味を付けているのです。
その証拠に、一口食べるごとに海水にサツマイモを浸しています。

いったい、誰が、これを「イモ洗い」だということにしたのでしょう?

擬似科学者ライアル・ワトソンの自白

「百匹目の猿」という言葉を最初に使ったのは、英国のライアル・ワトソン(Lyall Watson)という動物学者です。

そう、彼が1979年に書いた「生命潮流(Life Tide)」という本の中で、ひんぱんに、この言葉を使用したため、日本の“文化猿”のことが広く知れ渡ることになったのです。

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ワトソンは、学者の肩書を使いながら「ニューエイジ」の普及に余念がありませんでした。

彼を有名なニューエイジ・サイエンティストに押し上げたのは、世界的なベストセラーとなった「スーパーネイチャー(SUPERNATURE)」です。

わかるでしょうか?
彼はニューエイジ・オカルティストなのです!

つまり、ワトソンが伝えたかったことは、「百匹目の猿現象は事実であり、動物でさえテレパシーによって互いに感応することができるのだから、人間であれば、なおさら無意識界で容易につながることができ、世界同時革命さえ可能になるのだ!」ということです。

「その閾値は100人で、それを超えれば一瞬で世界は変わる」と言いたいのです。

ワトソンは凄い!格好いい!

もちろん、長年、幸島の研究を行ってきた京都大学霊長類研究所は、自分たちの研究結果をゆがめて利用したペテン師、ライアル・ワトソンを快く思っていません。
彼らは、婉曲にワトソンを批判しています。

その後、ワトソンと同じニューエイジ・サイエンスの科学者たちが次々と「ワトソンの百匹目の猿は間違いだ」と指摘する著作物を出したことから、グーの根も出なくなったワトソンは、とうとう「百匹目の猿現象は自分の捏造と妄想の産物であり、単なる与太話の類に過ぎない」と認めたのです。

つまり、「百匹目の猿現象」とは事実無根の与太話だったと、これを広めた本人が言い出したのです。

それでも、「百匹目の猿現象」は、多くのニューエイジャーや、UFOカルト信者たち、引き寄せの法則によって悪魔を引き寄せようという疑似科学信奉者たちの心をひきつけ、利用されていったのです。今でも・・・

たとえば、「深夜、みんなで山に登って手に手をつないで祈ろう。そうすれば、UFOが我々の元にやってくるだろう」といった話。

要するに、エイリアンもテレパシー交信しようというスピリチュアル宗教に利用されているのです。

これは、黒魔術のことです。

これはマーケティング、つまりビジネスなのだ!

ニューエイジが、世界中の若者たちに一気に浸透したのは、ウッドストックやビートルズの全盛期、1960年代中頃から1970年代前半にかけてのことです。

ニューエイジ・ムーブメントの仕掛け人でスポンサーが、ロックフェラーであることは、つとに知られている事実です。

ロックフェラーによる社会工学的実験=ニューエイジ・ムーブメントは、大量のヒッピーを生み出し、彼らを麻薬漬けにしました。狙いどおりの成果を出したのです。

その後、ニューエイジは、ニューエイジ・サイエンスやニューエイジ・ミュージックといった分野に細分化され、カール・セーガンのような擬似科学者やジョージ・ウィンストンのようなイージーリスニング奏者を生み出していったのです。

同時に、「ヒーリング」や「リーインカーネーション」といったスピ系の用語が次々と出てきて、日本のシンガー・ソングライターにさえ影響を与えたのです。

このように書くと、スピ系信者たちは、「ワトソンは真実を伝えようとしたからこそ逆に潰されたのだ」と言い、「人間の精神エネルギーは無限の可能性を持っているので、これを封印しようとしているのだ」と言い、果ては、「UFOとエイリアンが地球にやってきていることを知らせたくない勢力がいる」と言い出すのです。

はいはい、私はUFOを何度か見ています。一度は、巨大な母船を、手に取るような近さで見ています。
それも、一人ではなく同時に何人も。
仲間が撮った写真も見せてくれましが、関心がないので、それっきり。

確かにUFOは実体として存在していることは認めます。それどころか、私は誰よりも実在を信じているのです。

しかし、それはエイリアンが乗っているUFO,sではない、と言っているのです。

こう言うと、さらにスピ系メンタリティーの頭のイカレタ人々は、今度はこう言うのです。
「お前こそがUFOの真相を知っていながら、これを隠そうとしているに違いない!」と・・・

では、そのように言う人々・・・「超常現象ファイル」のようなひと頃の年末特別番組のレギュラーとして必ず出演するオカルティストやスピリチュアル系の専門家が、実は居酒屋の寄り合いで、「俺っ? 信じてないよ、んなの、あったりまえじゃん。商売のためにやっているに決まってんでしょう」と言っているのを知っているだろうか。

そして、彼らの数人は、東京タワー近くの東京メソニックセンター(フリーメーソン日本グランドロッジ)に自由に出入りし、集まるごとに、「最近、UFO話は弱いよね、これからはサタニズムだわ」と言って、都内のある場所でルシファー降霊会を催したり、悪魔の降霊実験をやっていることをご存じか?

さらに、そのうちのオカルトライターは、終末論で信者を集めている有名なカルト教祖のゴーストライターを請け負っていることをご存じか?

救いようのない信者たちは、まさか、自分たちが、この種の人たちの単なるマーケット(市場)になっているとは想像もしないでしょう。

こうした人々は、一生涯、擬似科学詐欺の餌食となって、最終的には身を亡ぼすでしょう。

これは、「百匹目の猿現象」についてだけではありません。

予言者を自称するサイキック、占い師と言われるアストロロジャー(西洋占星術師)たちも同じです。

そして、ニューエイジのワトソンのような科学者もまた同じです。
彼らは先天的に嘘をつくように生まれついているのですから・・・