10年前まで東京に4年近く住んでいました。
練馬に住んでいたのですが、その頃に、よく亡き夫と通っていた飲み屋さんがあり、そこで知り合った友達が沢山います。
ある日、そのお店で親しくなったお友達と、はじめて2人で飲む機会がありました。
彼女は、当時、結婚をしてまだ間もない時でしたが、旦那さんが仕事を辞めてしまい、働いてくれないとの悩みを話してくれました。
聞いてみると、旦那さんは、自分の希望する仕事が見つかるまでという感じで、働かない日が続いているようでした。
そんな中、言い合いになると、彼女に手を上げたりすることもあったそうです
彼女は、2つの仕事を掛け持ちしていました。
お酒が進んでくると、お互いにさらにオープンになってきて、彼女は、自分の生い立ちを話してくれました。
それは、普通の家庭で育った私には、想像を絶する生い立ちでした
彼女の学生時代に、父親に彼女ができ、ある日、家族を置いて家を出て行ってしまったそうです
そして追い打ちをかけるような出来事が、間もなく起こりました。
母親もまた、彼女やお兄さん弟、3人の子供たちを置いて出て行ってしまったのです
しばらくは、兄弟だけで生活していたそうですが、親が電気、水道代など払ってくれなくなり、止められてしまったことで、親戚を頼り、高校を卒業するまで居候させてもらったと言ってました。
高校を卒業してから上京し、昼だけでなく夜の様々な仕事もしながら、栄養士の専門学校へ通ったそうです。
当時のことを思い出を語ってくれた彼女の目からは、涙が溢れていました。
そして、彼女は、言いました。
「私、頑張ってきたよね?」
彼女のその一言から、当時の彼女の寂しさ、悲しみが津波のように押し寄せ、私の目からも涙が溢れました。
「うん、うん、よく頑張ってきたね。」と彼女の背中をそっとさすりました。
「やっと、Norikoさんのような、普通の家庭で育った友達と出会うことができて嬉しい。」と言ってくれました。
きっと、当時の彼女には、彼女の寂しさ、悲しみに同調する同じ境遇の人が引き寄せられていたのでしょう。
私と変わらない年代の子で、孤独とひとり闘い、心を痛めながらも頑張って生きてきた子がいるということを知り、頑張って生きてきた彼女を称えたい気持ちでいっぱいでした
その時、私は、彼女の幸せを心の底から願いました。
そうした人生の大きな試練を乗り越えた彼女は、その後、練馬の旦那さんに別れを告げ、また新たな人生の一歩を踏み出したのです。
また、離婚からほどなくして、とても誠実で素敵な方と出会うことができ、2人の可愛い子供たちにも恵まれ、彼女が思い描いていた温かい家庭を実現して、今は幸せに暮らしています
幸せになりたい
誰もが思うことだと思います。
この幸せのかたちを、より強く思い描き、真摯に自分の人生と向き合うことで、自分の幸せを実現できるということを、彼女が証明してくれました。
そして、試練を乗り越えた先には、より成長した自分、より幸せを感じることができる自分と出会うことができるのでしょう
人それぞれの人生、お互いに人生を語り合うことで、沢山の気付きを得ることができます。
語ってくれた彼女に心から感謝したいと思います