眠れるレンズ CANON50mm f1.2 | norimのブログ

norimのブログ

ブログの説明を入力します。

クラシックカメラやオールドレンズを持っている人なら
防湿庫の片隅に使わないレンズの1本や2本はあるだろう。

私にもそんなレンズがある。

Canon50mmf1.2 (Lマウント)
20年くらい前に友人から古いキヤノンのレンジファインダー(VT Delux)と一緒に譲ってもらったレンズだ。


このレンズは、キヤノンのレンジファインダーカメラ用として1956年に発売されたもので、当時日本のカメラ業界は、まだレンジファインダーカメラ全盛で、大口径競争まっただ中だった。F1.4 F1.2 と次々と大口径レンズが各社から発売され、ついにCANON50mmF0.95 という有名な化物レンズが登場した時代だ。F値が小さい=高性能 こんな認識がまだはびこっていた。
1960年台より、日本のカメラメーカーは、一眼レフに移行し、一眼レフでは長いバックフォーカスという制約の為、大口径競争は一旦沈静化し、再び50mmF1.2が登場するのは、1980年まで待たなければならなかった。

また、このレンズは曇り易いので有名なレンズで、貰った当初は後ろ玉が完全に真っ白でモヤがかかったようにしか写らないレンズだった。カメラの方もほとんどジャンクで、ボロボロで露出計もないこのカメラは非常に撮りづらく、仕方なく中古屋に持っていったが、値段はつかないし、修理も不可能と言われ本棚の片隅に置いてそのまま放置していたのだった。

それから長い年月を経て、3年前ミラーレスカメラを買ったのを契機にマウントアダプターなども買い揃え、ベッサR2なども手に入れたので、思い切って
キイロビン(硝酸セリウム)で磨きそれなりに写る所までになったが、その後再び、防湿庫の片隅に眠る事になってしまった。

前置きが長くなったが、最近気まぐれで、ライカIIIcにつけて撮ってみたのでその感想などを書きたいと思う。

IIIcに付けてみるのは初めてで、いざつけて見るとレンズが大きすぎてファインダーの大部分が見えない事がわかったが、最近はバルナックにもだいぶ慣れてきていたので気にせずに撮ってみた。

まずは開放+最短の写りを見てみよう。
写した本人がびっくりした。
ちゃんとピントが来ているではないか!
F1.2の被写界深度はとても浅いので驚きであった。

ちょっと引いて 開放のボケ加減をみてみる。

今まで見たこともない感じのボケ方だ。ピントが合っている部分の前後が綺麗にボケている。
これは面白い。


たぶんF2くらいで撮ったもの。
開放で撮るにはよほど暗い所でないと撮れないので
それはそれで難しい。
ライカIIIcの最高シャッター速度は1/1000だ。

もうちょっと綺麗な被写体を


黄色いモッコウバラは、少しだけ彩度を上げてみた。
他の写真は何もいじっていない。





正直驚いた。
想像以上に写りがよかったからだ。
何よりも、ボケの雰囲気が独特で非常に面白い。
子供の写真でも撮ってみたら良いかと思った。

考えてみると
ここ数年私は、CANONの古いレンズも結構使っている。
(ほとんど1万円前後で購入出来る物)

 セレナー50mm F1.9 1949年発売 1万円で売却
 キヤノン50mm F3.5 1952年発売 1万4千円で売却
 キヤノン50mm F1.8 1958年発売 8千円で売却
 キヤノン50mm F1.2 1956年発売

セレナーは、色彩が今ひとつで、キヤノン50F3.5は、エルマーと似た感覚ではあったが、エルマーを超える事はなかった。キヤノン50F1.8は銘レンズで、写りはとても気に入っていたのだが、デザインがバルナックに似合わないという理由で売却した。

今回の写真も含め、家にあるこれらの写真を見なおしてみると、キヤノンの昔のレンズの良さを再認識できた。
このような良い物を出し続けてたからこそカメラ界のトップになれたのだろうと思う。

こうやって、普段使わないレンズを持ちだして撮影するのも新鮮だ。
また機会があれば、他のレンズも引っ張りだして見ることにしよう。