スクールカウンセラーとして
働き始めた年の夏の1ヶ月、
わたしは完全にひきこもりました。


なぜなら仕事がなかったからです。


スクールカウンセラーは
夏休み、無職になります。


今は研修講演の講師などの
お仕事をいただいていますが、
1年目は実力も人脈も
ないない尽くしでした…。


元気に振る舞ってはいましたが
正直、みじめな気持ちでいっぱいでした。


仕事がないことで
人は簡単に病みます。
身をもって体験しました。


無職の夏休みにハマったのが
人形の服の制作でした。


ブライスってご存じですか?


70年代のアメリカで
販売されていたお人形で
2001年、日本でレプリカが登場。


グレープフルーツ大の頭に
リカちゃん人形のボディという
不思議な頭身が特徴です。


その頃はそんな言葉
ありませんでしたけど
完全に沼オチしました。


当時は実家暮らしだったので、
針箱とアイロンを部屋に持ち込み、
来る日も来る日も人形の服を制作。


表紙の水玉ワンピースが
かわいらしくて…!




近所に手芸屋さんがあったので、
端切れを買ってきてはチクチク。
お金をかけずに没頭できたのです。






しかも、作業BGMはビョークでした。


このアルバムを
高校時代に買ってもらった
パイオニアのミニコンポで
延々リピートしていました。


家族としか会話をしない環境に
1ヶ月間も身を置いていると、
声も言葉も出なくなります。


積極的に使わなければ
機能(function)は低下します。
これマジです。


家族との間では具体的に指し示さなくても
「あれ」とか「それ」で済んでしまうので
会話と呼べるほど頭や口を使わないのです。


わたしは自分が退化していることに
まったく気がついていませんでした。


夏休みの終わり頃、
勤務校で職員研修を担当しました。


声が出ません。
言葉が出て来ません。
しゃべれません。


仕事を再開してすぐに戻りましたが
そうか、やっぱりひきこもりって
心身に影響を及ぼすのだなあと
われながら感心しました。


ビョークかけながら
人形の服を縫っていた話をしたら、
年下の心理職さんから

「のり子先生でも
 そんなことあったんですね!
 ほっとしました!」

と言ってもらえたことがありました。


肉を切らせて骨を断つ…