父と息子の葛藤。


誰がこのドラマを見ていたか。なぜ見ていたのか。
なんとなく背景に、今の父親像に対する不満、もっと言うと、強い男を求める感情が特に男性にあるのではないでしょうか。

不祥事が発生したときのトップの行動について、いろいろ批判がありますが、そういう態度に対するうんざりした感情も手伝っているように思います。


家制度というものが存在し、家長というものが存在していた戦前の時代。
戦後家制度はなくなった感じがします。
私の祖父の代には、まだ家というものが残っていました。
あのころの厳格な父親像にほのかな憧れ。
それに加えて、ドラマのパターンの一つとして、主人公は正義感や責任感、理想をひたむきに追い求めるような態度を持っています。
それらがミックスされているように思います。



憎みあう息子と父の関係を描いていますが、息子は父を父親と見ていますが、父親は息子とは見ていなかったように思います。
これも現代の親子関係を象徴しているように思うのです。


たとえばベビーブーマに親はいなかったのではないかと思うのです。
戦後親はたくさんの子供を育てるために働き、早く生まれた子供が下の子供の世話をしていました。
何を基準にモノを考えたりしたら良いのか、そういう親から受け継がれることが多いものを、受け継ぐことが出来ず、高度成長期という時代の流れに乗って生きてきた人たち。
それが昨今の不景気で、成長期という神話が崩れ、不安を感じている。
彼らの多くは、兄弟に育てられていて、親という存在を知らない。
だから子供と友達づきあいをしてしまう。それは表面的にではなく精神的なつながりも横のつながりとなってしまっている。


子供の世代はどうかというと、やっぱり将来に対して不安を感じているのではないでしょうか。
強く言われるということ聞かないくせに、強い父親像があったらと身勝手なことを考えたりしている。
子供は親という存在でいてほしいと思い、親は子供に兄弟としての扱いをしてしまう。


ドラマの中で、主人公は父親に自分を認めてほしいと伝えますが、父親はそれを拒否してしまう。
案外こういうシチュエーションって現代でも多いように思います。


女性は比較的母親と友達づきあいをしても平気な存在と思います。
男性は結構それが出来ないのではないでしょうか。
そういう意味でも、このドラマは男性向けだったように思います。
年代としてはベビーブーマージュニアの世代と思います。



ここら辺から考えると、精神修業的なものが流行るのかもしれないです。
座禅とか。
集団でお正月に合宿とかやっちゃったりして。
そこまで行かなくても、歴史を思わせるものとか。
そういうものによって、なんとなく安心するんじゃないでしょうか。