物語消費論
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%9A%E6%9C%AC-%E7%89%A9%E8%AA%9E%E6%B6%88%E8%B2%BB%E8%AB%96-%E5%A4%A7%E5%A1%9A-%E8%8B%B1%E5%BF%97/dp/4044191107/sr=8-9/qid=1169497222/ref=sr_1_9/250-8031465-7266646?ie=UTF8&s=books

私の読んだのは、図書館にあった1989年のものなのですが、Amazoneには古いやつは載っていないようです。

先日の村山友の会での村山さんの講演が、いまいちピンと来なかったので、この「物語消費論」と関係性マーケティングについて調べてみたいと思っています。

この書籍は1980年代後半に書かれた書籍。
先日の講演で言うと、記号論的に「意味=大きな物語」のところで書かれた書籍です。
ミクロ的に言うと、
 動物化:意味=データベース
 ナラティブ:意味=ナラティブ
となるらしい。

「ナラティブとは?」と思い、辞書を引いたけれど、違いはよく分からなかった。
辞書の内容は最後に記述。


「物語消費論」には、1980年代後半に大ヒットした、「ビックリマンチョコレート」という商品についてのお話が出ています。
チョコレートという商品にもかかわらず、おまけのシールだけ取ると、チョコレートは捨てられてしまったため、問題にもなった商品です。
この著者は、このチョコレートのヒットの原因が、コレクションではなく、「物語消費」という消費行動であるといいます。

「物語消費」とはどのようなものかというと、通常消費される商品の裏にある大きな物語(世界観)を消費するという行動です。

アニメなり、漫画なりで例えると、1話は断片的な商品です。
ただ、作り手は1回性の物語のみを作っているわけではなく、主人公たちの生きている時代、場所、国家間の関係、歴史、ロボットにしても、そのデザインなり機能のこの時代の科学力に照らし合わせた場合の整合性といった細かな設定が無数に用意されているのが常であり、この設定が多ければ多いほど、1話分のドラマは受け手にはリアルなものとして感知されます。
本来ならば、この裏の大きな物語は、消費者の目に触れる性質のものではなかったのですが、マニアは1話1話のドラマの中に含まれたドラマ以外の情報を手懸りに背後に隠された世界観を探り出そうとしたそうです。

//独り言
確かに、ガンダム辞典とかあるそうですね。1000ページくらいの辞典で、科学的な分析含めて書かれているとか聞いたことあります。
なんでもガンダムに使用されている合金は、無重力空間でないと作れないものだとか、熱く語られて困惑した覚えが・・・。
//独り言ここまで

これが、アニメやコミック玩具という限られた分野に関して、消費者の共通感覚化しつつある。
これが消費社会が迎えている新たな局面であり、消費されているのはドラマやモノではなく、その背後に隠されていたはずのシステムであると。しかしシステム=大きな物語そのものを売るわけには行かないので、その一つの断面であるドラマやモノをみせかけに消費してもらうのだと。

そしてそれの次の段階があります。
消費者が小さな物語の消費を積み重ねた果てに大きな物語=プログラム全体を手に入れてしまえば、彼らは自分たちの手で小さな物語を自由に作り出せることになる。

そういえば、エヴァンゲリオンのヒットについて、「2次的な作品を広く許した。2次的な作品が多数作成された。」見たいなことが書かれている記事を読んだことがあります。
2次的な作品=パロディと考え、パロディ許してなんでヒットするんだろうと不思議に思っていましたが、それ自体が消費行動だったと考えれば納得がいくような気もします。


でもそういう消費行動が他の分野にも伝播したら、どうなるのでしょう。
モノを消費しないわけだから、課金しにくい気がします。
どのようなものが、「物語消費」となりうるのか、また物語消費時代の収益モデルってどのようなものなのでしょう。

ふと思い出すのが、i-Styleという化粧品の口コミサイト。
あの会社は、顧客の口コミ情報から、マーケティングを行って収益を上げていました。
物を売らずに収益を上げるというすごい仕組みを持っている会社のようです。



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ビックリマンチョコレートとはどのようなものかというと、
このチョコレートについているシールには、一枚につき一人のキャラクターが描かれ、その裏面には表に書かれたキャラクターについての「悪魔界のうわさ」と題される短い情報が記入されている。
で、このシールをいくつかを集め組み合わせてみると、漠然とした小さな物語が見えてくる。
これらの小さな物語を積分していくと、神話的叙事詩を連想させる大きな物語が出現する という商品だったそうです。



大辞林によると、
ナラティブ(narrative)
1.物語。2.物語風の作品。

ジーニアス英和辞典によると、
narrative
1.(事実に基づく)物語、話(story);物語文学<<語りの行為より物語の内容に重点がある→narration>>
2.語ること、話術
3.(時にthe~)(文章の会話部分に対し、作者が説明する)地の文

narration
1.[・・・を]語ること、[・・・に関する]語り、叙述(telling);(映画・劇場などの)上映中のナレーション、語り、解説
2.物語、話<<小説・歴史書などのような>>物語形式
4.話法

あ、でもナラティブとストーリーは違うとも講演内で言われていた。
story
1.(事実に基づく、また架空の)[・・・についての]話、物語
2.=→storyline
3.(novelより短く簡単な)小説、短編小説
4.(文学の一部門としての)物語
5.(新聞・雑誌などの)記事(の種)
6.a(事実の)報告、陳述、説明 b(広まっている)[・・・という]うわさ、風評
7.(面白い)逸話、冗談
8.嘘、作り話;うそつき

storyline
(小説・劇などの)筋、プロット(plot)

plot
1.[・・・を倒そうとする/・・・しようとする](裏切りの)陰謀、たくらみ
2.(小説・劇などの)筋、構想、プロット
3.(建物・栽培などのための)小地所、小区画地
4.[[米]](土地・建物などの)平面図(ground plan);図表