3番の解釈です。
いざ行かむ行きてまだ見ぬ山を見むこのさびしさに君は耐ふるや
悲しみをぬぐい、自分自身を奮い立たせて「いざ行かむ」、いざ行こう、といってみたものの、「このさびしさに君は耐ふるや」と歌います。
表現のしようのないほどの哀しみを深く秘めた心に、孤独感を抱えていたのです。
「白鳥の歌」に使われた牧水の3首はどれもとても有名で、牧水の人生観が表れている素晴らしい歌です。
曲も素晴らしい
牧水が自分を律してまっすぐに生きる辛さ寂しさを見事に歌った歌に、古関裕次の曲も実にシンプルで美しく、歌曲そのものだと思いますが、実はこれは完全に流行歌として誕生したものです。
短歌は言葉数が少ないので、作曲すると、とても短い歌になってしまって、なかなか名曲と呼ばれるものは少ないのですけど、古関裕而は短歌に曲をつけるのが好きだったようで、この白鳥の歌は、さすが素晴らしいできだと思います。名曲です。
歌はこうして生まれた
昭和22年、NHKの連続ラジオドラマ「音楽五人男」の主題歌として作曲され、主演していた藤山一郎が放送の最初にいつも「白鳥はかなしからずや・・・」と1番の歌詞を歌っていました。(当初は1番だけでした)
この番組はとてもヒットして、その後、レコード化することになった時、「白鳥は・・・」だけでは短すぎるので、同じような雰囲気のある「幾山河」と「いざ行かむ」の二首が選ばれました。
ちなみに、東宝で映画化された時の主題歌はまた別に作られています。
その歌も藤山一郎が歌ったものですが、「夢淡き東京」です。
大ヒットしましたからご存じの方も多いかしら・・・。
「柳青める日・・・」で始まる歌です。
だから、同じ映画の中で歌われたのですから、「夢淡き東京」と「白鳥の歌」は兄弟に当たるってわけ。
余談
恋心のことを考えるとすぐ思い出す歌です。 藤原俊成の歌
「恋せずば 人の心もなからまし もののあわれも それよりぞしる」
(恋というものをしないと、人としての心が育たない、美しいと感じたり思いやる心を持ったり、あわれを感じることは恋をすることでのみ知ることができる)
恋をたくさんすると心が豊かになれるのですね。(^^)
やっぱり歌曲ってすてき
の。