静かなよふけに いつもいつも

思い出すのは おまえのこと

おやすみ安らかに たどれ夢路

おやすみ楽しく 今宵もまた

 

明るい星の夜は 遙かな空に

思い出すのは おまえのこと

おやすみ安らかに たどれ夢路

おやすみ楽しく 今宵もまた

 

さびしい雪の夜は いろりのはたで

思い出すのは おまえのこと

おやすみ安らかに たどれ夢路

おやすみ楽しく 今宵もまた

                     『磯部 俶  歌曲集』より

 

 

  歌の誕生

詩の意味のご説明は必要ないでしょうから、歌の生まれた背景をお話しします。

昭和26年、早稲田大学グリークラブの合宿が神奈川県の津久井郡、青根村というところで行われました。

指導していた磯部俶は3日遅れて到着。

上級生のリーダーが、毎晩就寝の時、枕の取り合いで大騒動になる、何とか静かに寝かせる方法はないものかと相談したそうです。

「静かな曲でも聞かせたら?」と提案すると、「そういう曲を作って下さい」と言われ、薪小屋の二階の畳の上で腹ばいになってノートに男性四部合唱の曲を作ったそうです。

出来あがった曲を各パートリーダーを呼んで歌わせ、その夜、四重唱で演奏したといいます。

 

 

  全国に広がる

この歌は最初、グリークラブのパートリーダー達4名が無伴奏で歌っていたようですが、その後、ボニ―ジャックスがレコードに入れ、NHKの <みんなのうた> に取り上げられて全国に広がり、今日多くの人たちに親しまれています。

 

 

  蛇足

本人の著書 『遙かな友に わが音楽人生』 の中にこんな記載が・・・。

 

「余談だが、《遙かな友に》の著作権料は歌われることが非常に多い割には意外に少ない。それは合唱ファンは誰でも楽譜なしで歌えるし、演奏会ではいつもアンコール演奏でプログラムに記載されないからだ。でも私はそれでいいと思っている」

 

と書かれてありました。

実は、私もアンコールにはいつもこの歌を一番だけ歌っています・・・。

この一文を読んで、申し訳ない思いでした。(^^;)

 

 

やっぱり歌曲ってすてき!

の。