春の日の花と輝く

麗しき姿のいつしかにあせて

移ろう世の冬は来るとも

わが心は変わる日なく

御身をば慕いて

愛はなおみどり色濃く

わが胸に生くべし

 

若き日のほおは清らに

患いの影なく御身いまあでに

麗しされど面あせても

わが心は変わる日なく

御身おば慕いて

ひまわりの日をば乞うごと

永遠に思わん

 

 

  詩の意味

1連

春の日の花のように美しく輝いている君。

そのうるわしい姿がいつかあせて、季節が春から冬に移り変るように君の容姿が衰えても私の心は変ることなくあなた様だけをお慕いしています。

私の愛は、なおも青々と綠色に輝く春の草のように、胸の中に生きています。

 

2連

若い君のほおは清らかでわずらいの影もなく、とてもあでやかに美しく輝いている。でも、いつか年をとり容色があせたとしても、私の心は変ることなくあなた様をお慕いしています。

ひまわりが太陽を恋し求めてその光の方に顔を向けるように、私は御身を永遠に愛しています。

 

 

  詩の誕生

アイルランドの詩人、トマス・ムーアによる愛の歌。

          (トマス・ムーアの詩で有名なものに、「庭の千草」もあります)

堀内敬三の訳詞で、この「春の日の花と輝く」が生まれました。

直訳ではなさそうですが、とても素晴らしい詩に仕上がっています。

 

堀内の詩(訳詩)として他に有名なものは、

家路     (ピンク音符遠き山に日は落ちて・・・)ドボルザーク作曲 

故郷の人々  (ピンク音符遙かなるスワニー河・・・)フォスター作曲  

アニーローリー(ピンク音符あした露おく野のしじまに・・・)スコット夫人作曲 

冬の星座   (ピンク音符木枯らしとだえてさゆる空より・・・)ヘイス作曲     

サンタルチア (ピンク音符月は高く海に照り・・・)イタリア民謡    

 

等々、たくさん日本語訳詞を手がけています。

 

 

  曲の誕生

アイルランドの古い民謡、『My Lodging It Is on the Cold Ground(我が家は冷たき土の上)』が元で、そのメロディーにトマス・ムーアが「Believe Me, If All Those Endearing Young Charms」という題で歌詞をつけた他、いろんな詩がつけられて歌われているようです。

有名なものとしては、1841年に英国の牧師の妻であったジェマイマ・トンプソン・リューク夫人作詞による讃美歌467番、「思えば昔 イェスきみ」。

アメリカ・ハーヴァード大学の校歌「Fair Harvard」にもなっています。

 

 

  原曲の詩

これを載せるべきか要らないか悩みましたが、若い人たちは英語が得意の人も多いかと思い、ひとまず載せてみることに。

 

Believe me, if all those endearing young charms
Which I gaze on so fondly today
Were to change by tomorrow and fleet in my arms
Like fairy gifts fading away.

 

Thou wouldst still be adored as this moment thou art
Let thy loveliness fade as it will
And around the dear ruin each wish of my heart
Would entwine itself verdantly still.


 

讃美歌467番、「おもえばむかしイエス君」の譜面も載せておきます。

    

 

堀内の 「春の日の花と輝く」 の詩は素晴らしいく、歳をとっても、変わることなく愛し合える老夫婦は究極の愛の姿です。

こうありたいものです。

 

 

やっぱり歌曲ってすてき!

の。