詳しい経緯は省くが、よくわからないレクリエーション会に参加させられることになった。

会場である体育館に行ってみると、10人ちょっとの同年代くらいの男女が集められていた。
まずそこで二人組になってフリスビーを投げ合うように言われた。
知らない人と二人組になるだけでも厳しいのに、あんまり投げたことのないフリスビーを投げ合うのはかなりきつかった。
まっすぐ投げられないのでフリスビーが変な方向に行く度に「すいません」と言った。
向こうの投げたフリスビーが変な方向に飛んだ時は、向こうが「すいません」と言ってきた。俺は変な顔で愛想笑いをするしかなかった。
どの二人組もそんな感じだった。体育館中が「すいません」の薄い膜に包まれていた。

続いてみんなで輪になって柔らかいバレーボールをラリーすることになった。
でも、みんなバレーボールが上手くないのでラリーはそんなに続かなかった。
かと言って声を出し合ってカバーすることもなかった。みんな真顔でやっていた。
ここにいる全員が、こういう場でもリーダーシップを発揮して積極的に声を出せるタイプの人間ではないのだ。

俺は思った。きっとここは懺悔の場なのだ。
俺のように現世で人と積極的に関わろうとしない、こういう場で人見知りしてしまう人間を悔い改めさせるための場所なのだ。

地獄のバレーの後、変な音楽をバックに健康についての解説を聞いて終わった。
どうやらこの会はこれで2回目だったらしく、近くの人に勇気を出して「これって前回はどんなことやってたか知ってます?」と聞いてみた。
「前も同じ感じでしたよ」と言われた。
「ならよく2回目も来たなこいつ」と思ったが、口に出して言うことはできなかった。
なぜなら俺は人見知りなのだ。