こんにちは。チェリストの山口徳花です。
おかげさまで先日、アマデス室内管弦楽団さんとのハイドン(チェロ協奏曲第2番)を弾ききることができました。
私は晴れ女のはずなのですが、当日ピンポイントでまさかの雪。
雪に強いと言われている西武新宿線が午前中からお昼前後にかけて止まり、どうやら会場の所沢以上に都内が大雪だったこともあり、多くの方がご来場を諦めざるを得なかったとのこと…。
せっかくご予定を空けていただいていたのに来られなかった方、途中までお出かけしてくださったのに引き返さざるを得なかった方には本当に申し訳ありませんでした。
そのような状況の中でも約250人の皆様にご来場いただいたようで、開演前に楽屋からモニター越しにホール内の様子を見ていると、一人、また一人、と増えていくお客様の姿に胸が熱くなりました。
今回ハイドンのソリストとして招いていただけたのは、この楽団に所属している私の生徒さんが推薦してくださったことがきっかけでした。
ハイドンの2番と言えば、業界ではオーケストラのオーディション一次審査の課題曲になる曲として有名です。
それゆえ多くのチェリストにとってこの曲はトラウマになりがちで、私にとってもトラウマになりかけていたのが正直なところ。
しかし、だからこそ、この名曲を全楽章通してオーケストラとの共演で演奏したいとずっと思っていました。
アマデス室内管弦楽団さんは設立当初から指揮者を置かないスタイルでずっと活動をされており、今回のハイドンももちろん指揮者無しでした。
ロマン派の作品などに比べれば小さい編成で、テンポを揺らすこともほとんどないのですが、指揮者無しで協奏曲のソリストを務める難しさを知りました。
チェロ協奏曲の場合、ソリストは真正面を向いている(=オーケストラに背中を向けている)ため、相当大きく合図を出さないと伝わりにくかったり、通常なら指揮者が汲み取ってくれたりバランスを調整してくれる部分を自分で積極的にオーケストラの皆さんに伝えないといけないので、自分の未熟さを痛感するとともに、指揮者の方の存在のありがたさをあらためて感じました。
そしてこのハイドン2番のシビアさというのは、やはりオーディションの課題になるだけあるということを再認識もしました。
ごまかせないし、勢いで押し切れない。
音の美しさ、音楽的な音程感、ありとあらゆる技術、そして奏者の日々の演奏・音楽・人生への向き合い方までをも映す鏡のような作品であると感じます。
オーケストラパートも然りで、音符の数は少ないものの、この曲でソリストに寄り添い、支えるのは容易なことではないと思います。
アマデスの皆さんとは合計4回の合わせとゲネプロ・本番をご一緒させていただきましたが、本番に最高のクオリティを持ってきてくださいました。
皆さんの努力と集中力に感謝です!
さて、自分の実力を余すところなく映す曲である以上、良くも悪くも、思うところはたくさんあります。
情けないことですが、これまで何十回と経験してきたオーディションでは、プレッシャーに負けて聴くに耐えない演奏もたくさんしてきました。
思い返せば今回も、果たして自分はこの曲を弾き通せるのか?という問いが準備期間中常に頭のどこかに浮かび続けていましたが、そこは36歳、大きな挑戦をする時には「この感じ」がつきものであることを知っている私は条件反射のように、うん、弾く、弾くよ、弾き通すのだよと答え続けていたような気がします。
今回の本番も、私自身の感覚としては余裕を持って弾けたとは言えませんが、少なくとも自分の理想とする音・音楽を見失うことはなかったと思います。
プロならそんなことは当たり前と思われるかもしれません。
でもその当たり前が、この曲においては長らく、本当に長らく、私には高い高い壁でした。
今すぐまた取り組んでいかないといけない課題が山ほどあるのはよくわかっていますが、この壁を乗り越えられたこと、乗り越えさせていただけたこと、を大切に糧にしていきたいと思います。
温かく迎えて共演してくださったアマデス管弦楽団の皆様と関係者の皆様、雪の中お越しくださった皆様、様々な形で応援してくださった皆様、ありがとうございました。
今年は私にとってヨーロッパでの挑戦に集中する年と決めています。
そのため日本の皆様には少々ご無沙汰してしまうかもしれませんが、また成長して戻って来られるよう、精進してまいります!


