令和5年度の民法は本当に易しかったのか? | 岡憲彦の行政書士合格Blog~勉強に対して謙虚であり続ける為のおぼえがき  

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行政書士試験指導校 りす塾で講師をしています。受験生がその時々に感じる疑問をお伝えしています。書籍:社会人が合格するための計画・継続・記憶ノウハウ(中央経済社)の元ネタぎっしりのブログです。

令和5年度を振り返り

民法は本当に易しかったのか?

という視点でお話しますね。

 

問題27

「消滅時効」がテーマですね。

内容としては時効期間についてです。

消滅時効の時効期間としては

中程度レベルの内容が問われています。

上レベルであると

「定期債権の10年、20年」

「判決で確定した権利10年」を

問うことも可能ですし、

受験生が苦手とする

客観的起算点を事案から把握させる

「契約解除による原状回復権」

「返還期限の定めのない消費貸借」

については問われていませんね。

問われた内容が浅瀬だったので

対応ができたという意味で易しいですね。

ちなみに出題傾向からも容易に想定されたテーマですよ。

 

 

問28

「取得時効と登記」がテーマですね。

内容としては「時効完成の前・後」で

登記が必要か不要かという、

不動産物権変動では当然に学習する内容です。

取得時効と登記では「判例の5つの基準」を

押さえるのはマストですから、

やっていれば瞬時にできる、

やっていなければ迷う、

という明暗がキッチリと分かれる問題。

つまり、どのような学習をしていたかですね。

 

問29

「集合物譲渡担保」がテーマですね。

内容としては

・譲渡担保の対抗要件

・譲渡担保設定後の行為

・譲渡担保と他の権利

について。

そもそも民法の明文のない制度のため

学習の優先度は低いですね。

過去問題として問われていることを踏まえても

民法の明文上の規定をより学習を優先することは

進めていません。

レンジを絞らない学習で選択肢1,2,3の判断は

何とかできるので、

本問で正解された方は選択肢4,5の1/2の確立で

当たったというのが正直なとろこかなと思います。

マイナー科目を学習する際に制度の理解を優先すると

良い線までいけるということが分かる問題ですね。

りす塾ではCランクと評価しています。

 

問題30

「連帯債務」がテーマですね。

内容としては「対外的効力 相対効・絶対効」という

連帯債務では当然に学習する内容です。

問われた内容がかなりの浅瀬

(潮干狩りができちゃうレベル)

なので難しいという感覚はないでしょう。

上レベルの問いにするなら、

対内的効力で事前・事後通知がない場合の「求償権の制限」

や、「無理力者がある場合の求償権」あたりを聞けば

容易に正答率を下げることができるテーマなので

意図的に難易度を下げた問題ですね。

ちなみに出題傾向からも容易に想定されたテーマですよ。

 

問31

「相殺」がテーマですね。

内容としては「相殺適状・相殺禁止に当たらない」という

相殺権の発生要件が問われています。

相殺の学習としては当然におこなう範囲ですが、

受験生は「相殺禁止にあたらない」を苦手としますね。

そもそも自働債権・受働債権について意識をせずに

(とても重要なポイントです)知識を押さえようと

力技にしてしまうのではないでしょうか。

「悪意による不法行為」「人の生命・身体侵害」

だけで良しとしていては、模試等が解けても

本試験では対応できませんね。

答えに知識を寄せるのではなく、

知識をあてはめて解答する準備をしなくてはなりませんね。

ちなみに出題傾向からも容易に想定されたテーマですよ。

 

問32

「契約の解除」がテーマですね。

内容としては

・弁済の提供

・無催告解除

・受領拒絶後の不可抗力による履行不能と追完請求

・受領拒絶後の不可抗力による履行不能と危険負担

・受領拒絶後の不可抗力による履行不能と解除

とタイトルだけを聞けば学習している内容とわかりますね。

この部分は「債務不履行」という言葉で

すべてがひとつに繋がります。

債権を学習する上で

「なんか債権がわかった気がする!」

「パンデクテンがわかった気がする!」

と喜びを感じる部分です。

このステージまで到達している方には

この問題は易しく感じたのではないでしょうか。

体系からパンデクテンを意識する学習行程が、

入っていたか振り返って良いですよ。

 

問33

「契約解除等に関する各規定」がテーマですね。

内容としては

・使用貸借契約の解除

・賃貸借契約の解除

・請負契約の解除

・委任契約の解除

・寄託契約の解除

と5つの契約からの問いです。

中にはやっていないという契約もあるのでは

ないでしょうか?

しかし、出題頻出の高い、

「賃貸借契約」「委任契約」の解除のみの

イ、エを判断できれば組み合わせで

自働的に正解肢を選べるようになっています。

たとえ学習レンジを絞っていたとしても

解答ができるようになっているので、

易しい問題と言うことができますね。

ちなみに出題傾向からも容易に想定されたテーマですよ。

 

問34

「不法行為に基づく損害賠償額の損益相殺」がテーマですね。

内容としては

民法の明文規定のない制度のため

受験生の学習の優先度は低いですね。

過去問題として問われていることを踏まえても

民法の明文上の規定をより学習を優先することは

進めていません。

レンジを絞らない学習で選択肢2の判断は

何とかでき

過去問題で選択肢1の判断はできるので

本問で正解された方は選択肢3,4,5の1/3の確立で

当たったというのが正直なとろこかなと思います。

マイナー科目を学習する際に制度の理解を優先すると

良い線までいけるということが分かる問題ですね。

りす塾ではCランクと評価しています。

 

問35

「遺言」がテーマですね。

内容としては

・成年被後見人の遺言

・自筆証書遺言のカーボンによる複写

・共同遺言の禁止

・受遺者の死亡

・遺言の撤回

か問われています。

遺言の学習としては当然におこなう範囲ですね。

遺言は掘下げると

「公正証書遺言の方式」

「秘密証書遺言の方式」

「危急時遺言」「隔絶地遺言」などについて

問うこともできるため

本問は浅瀬の問題と言えます。

ただし、このような部分は長期間の記憶をしているのが

難しいため直前期に再アプローチして対応するのがセオリー

このような戦略がとれているかで正答率が異なると思います。

 

 

単に易しいという問題ではなく

民法の取組み方で見え方は変わってきますね。

 

明日の、

検証会ではこのような部分も踏まえて

選択肢を一つひとつ見ていきます。

 

 

使用する教材は、

上記noteより無料で配布しております。