前回は日本酒とは、

 

という話でした。

 

 

今回は続きで、水・酵母から進みます。

 

酒造用水

 

米と並び日本酒の主原料といえるのが「水」です。全成分の80%を占めます。(残り20%はアルコール、糖分、アミノ酸など)

水の良しあしで、日本酒の品質に大きくかかわります。そのため、水に恵まれた場所に蔵が多くあるのもその為です。

 

日本酒造りに用いる水は総じて「酒造用水」と言われ、直接日本酒の一部となる「仕込み水」や出来上がった酒のアルコール分を調節する「割水」。米を洗う用の水、瓶の洗浄に使用する水等々。沢山の水を使用します。

 

酒造用水としては、カルシウムとマグネシウムの含有量が多い「硬水」を使用すると、骨格のしっかりとした辛口に。含有量が少ない「軟水」を使用すると、口当たりがまろやかで柔らかい味になる傾向がある。

 

 

酒母

 

文字通り酒の母と書き、酒造りの核となるものの一つで、「酛」(もと)とも呼ぶ。酵母造りでは、麹と蒸米、水を入れたタンクの中で、糖分をアルコールと炭酸ガスに変換する役割を果たす「酵母」を大量に純粋培養する。

酵母は大きく分けて、生酛系酵母と速醸系酵母に分けられる。

 

生酛系酒母(4週間程度)

「生酛系酒母という自然の乳酸菌の力で雑菌を排除して、酵母が活動しやすい状態をつくり、アルコール発酵を促進する。また、山卸しという米をすり潰す作業を行う伝統的な醸造方法」。「生酛造り」とは何か、わかりやすく言うと、「自然の力を活用した、昔ながらの日本酒の造り方」です。昔ながらの造り方というのは、明治時代中盤まで主流だった日本酒の造り方を意味します。日本酒が一般人にも広がった400年も前の、江戸時代に主流だった方法です。
当時は微生物なんて言葉もありません。顕微鏡もありません。でもそんな中、杜氏の五感によって、微生物のはたらきをうまく活用し、お酒を造っていたんです。「生酛」は明治時代中盤まで主流だったお酒の造りだが、近年この生酛系酵母に挑戦する若手醸造家が増えてきました。

 

速譲系酒母(2週間程度)

速醸系酒母は明治の末期(1900年頃)に江田鎌治郎によって考案され速醸酒母に代表される一群の酒母育成法であるが、基本的には乳酸菌の生酸によらず、乳酸を添加することにより雑菌類の増殖抑制および淘汰を行い、純粋培養酵母を初期に大量に添加することによって酒母の酵母純度を高水準に保つ、という二つの原理に基づいた酒母育成法である。
生酛系酒母にくらべて「気温の高低に影響されないで安全に酒母の育成ができる」「短時日に仕上がり労力の節減面で効果が大きい」「性質既知の優良酵母が高純度で育成できる」「一定の品質の酒母が容易に育成できる」などの利点がある。速醸酒母、高温糖化酒母などがある。

 

 

酵母

 

清酒醸造に用いられる酵母の総称。清酒の香味を大きく左右する要因の一つ。種としてはほとんどが出芽酵母 サッカマイロ・セレビシエで、中でも特に醸造特性の高い株が選抜して用いられることが多い。また、必ずしも単一の株だけが用いられるわけではなく、酒母を混合したり、出来上がった酒をブレンドするなどの手法でそれぞれの株の長所を組み合わせた形で用いられることも多い。

 

日本で多く使用されている酵母は「きょうかい6号」。発酵の際、高い泡を形成するものと、しないものなど約30種類の日本酒用酵母が頒布されている。

 

伝統的な酵母としては

・きょうかい6号

・7号(真澄)酵母

・9号(熊本または香露)酵母

・10号(明利小川)酵母

・14号(金沢)酵母

などがある。

 

 

醸造アルコール

 

アルコール添加酒に用いられる。醸造アルコールは、主にサトウキビを原料として発酵させた純度の高いアルコールのことを指します。サトウキビ由来の香りや味はほとんどなく、クリアな味わいをしています。白米の重量の10%を超えてはならない。

醸造用アルコールを使用する、使用しないで特定名称酒の名前が変わります。(以下参照)

 

特定名称酒の表

 

 

精米歩合


精米歩合とは、精米(玄米から表層部を削った米)して残った米の割合を%で表したものです。逆に、削った部分を表すのは「精白率」と呼び、精米歩合70%と精白率30%は、同じ割合を表しています。

日本酒の原料として使われるお米は、私たちが普段食べている食用米に比べると、より磨かれた状態で使用されます。食用米の精米歩合はおおよそ90%程といわれていますが、日本酒造りに使われるお米の精米歩合は、70%前後が一般的です。

大吟醸酒になると、50%以下になります。大吟醸酒の場合は米の半分以上を磨いているというわけですね。

なぜここまで磨くのかというと、日本酒造りにおける米の表層部分は雑味の原因とされているからです。米の表層部分にはたんぱく質や脂質、でんぷんなど重要な栄養素がありますが、これらの栄養素が多すぎると、雑味が残り、お酒の香りが消されてしまいます。
そこで、日本酒造りにとっては必要のない米の表層部を磨くわけです。

 

今回はここまでです。

 

次回は焼酎編です。

 

 

本日も読んでいただきましてありがとうございました。