「注文住宅を計画したが審査が通らなかった。」
「頭金なしで買おうとしたからダメなのか?」
「借り換えをしようと申し込んだが断られた」


ワクワクしながら考える家づくりが、住宅ローンの審査に阻まれ「風前の灯火」、「夢物語」になろうとしていませんか?

おそらくこの記事をご覧の方は…。「何かいい解決策を見つけたい」という思いが強い方なのでしょう。

あなたのお悩み、よくわかります。

実は住宅ローン審査でうまくいかない理由の多くは、審査をクリアするための条件である「返せる住宅ローン」として申し込んでいないことが原因です。

シンプルな答えですが、「返せる住宅ローン」これが審査のキモとなる重要な要素なのです。

そこで今回は、審査条件となる返済負担率について考えてみたいと思います。


 


住宅ローン融資は保証会社によって審査判断が違ってくる?


ひとくちに住宅ローンとはいっても、住宅ローンを取り扱う金融機関は「都市銀行」、「地方銀行」、「第二地方銀行」、「信用金庫」、「信用組合」、「JA」、「労金」、「信託銀行」、「ネット銀行」、「モーゲージバンク」などさまざまです。

共通していえるのが一部を除いて「審査の合否は保証会社」が決めているということです。

銀行が審査をしているというものも間違いではありませんが、住宅ローン融資に関しては保証会社を利用する金融機関が多く、結果的には保証会社が審査を担当することになるのです。

 


保証会社の役割と審査


保証会社の役割としては、住宅ローンの契約している人が返済不能になったとき、債務者の代わりに、ローン残債を銀行に返済する役割を担っています。(これを代位弁済という。)

一般的に金融機関では、一社に限らず複数の保証会社と提携しているもの。そのため同じ金融機関で住宅ローンを申し込んだとしても、「あなたの保証会社の選択次第」で審査の結果が違ってくることもよくあるのです。

 


保証会社は大きく分けて3つに分類できます。


・ グループ会社関連の保証会社
・ 共同設立の保証会社
・ 外部委託型の保証会社

この3つは「審査基準と傾向」に若干の差がありますが、外部の保証会社を使う金融機関の方が、審査基準を考慮していただける可能性は高いといえます。

複数の金融機関に住宅ローンの審査を打診する場合は、保証会社が重ならないように選ぶようにすることも一つの方法でしょう。

融資希望額は「返済負担率」が低いほど審査評価が上がる?
民間金融機関で住宅ローンの相談に尋ねると、まず「融資希望金額」について聞かれますが、これは「返済負担率」を算出したいからです。

 


返済負担率とは?


年収に占める借入返済額(すべての借金総額)の割合を示したもので、金融機関の担当者が、はじめにする電卓計算と言ってもいいでしょう。

計算はとっても簡単!

(「住宅ローンの年間返済額」+「その他の借金の年間返済額」)÷年収 

ですぐに計算できます。

正確な返済負担率はどこの金融機関もオープンにしておりませんが、年収400万円以下は25~30%、400万以上は35%以下が目安と考えてよいでしょう。


審査をクリアするためには‼

返済負担率を抑えることが最も重要なポイントです。

 

住宅ローン審査は「その他の借金割合」がネックとなる?


計算式を見せてしまうと「読むのが面倒だと感じる」かもしれませんが、下記の例のように返済負担率が35%以下の基準を超過してしまうと「一発でアウト」になってしまう可能性があるので「負担率を抑えることも審査のポイントです。
【負担率を超過してしまった例】

年収が410万円で住宅ローン予定額9万円の他に自動車ローンが毎月4万円の場合
(1) 住宅ローン 年間108万円
(2) 自動車ローン年間 48万円
(1) 家 +(2) 車 = 192万円

年間返済予定額156万÷410万円 ≒ 返済負担率 38.04%

この場合対策としては、「住宅ローンの融資を引き下げる」または「自動車ローンを完済する」ことになりますが、金融機関との交渉によって融資が認められた事例も多数あります。

また、消費者金融などに借金がある場合でも「借入の用途が明確」、「返済の見通しがハッキリしている」、「一時的な借入」などの場合は負担率の考慮してもらうことも可能です。

 


住宅ローンは「申込みのタイミングを間違えない」。


私たちの日常生活においては、教育ローン・自動車ローンを利用する機会は少なくありませんが、住宅ローンの検討・借り換えを考えているのであれば、住宅ローン関係を先に済ませておいてください。

住宅ローンは、他の借金があると返済負担率を上昇させてしまうので、他のローンを検討する前に「住宅ローンの見直しは必要ないのか?」を考えるにしていただくとよいでしょう。

最近の住宅金利の引き下げにより「住宅ローンの借換え」を検討している方が少なくありませんが、先に「太陽光発電システムの設置ローン」や「自動車ローン」、「個人事業主への事業資金融資」を利用してしまったことで、借換えができなかったお客様がおりました。

ローンを考える時には、一呼吸おいて「住宅ローンを見直すタイミング」として、今一度見直してみるようにしてください。

個人事業主の住宅ローンは、返済負担率が低いのが普通?
年収500万円の会社員と年収1,000万円の個人事業主を比較して審査に有利なのはどちらでしよう?

答えは500万円の会社員です。

年収に2倍の開きがあっても個人事業主への風当たりは強いのです。

なぜ、個人事業主なのでしょう?

それは金融機関や保証会社が評価するポイントが「安定した年収が何年見込める人か」を基準にしているからです。

年収の値動きが激しいとされる個人事業主は、返済負担率が低く設定されているのが普通であり、事業用資金の借入れ、器具備品のリース料も個人的な借金として返済負担率に組み込まれやすい傾向にあるのです。

裏を返すと、借金が少なく、安定した収入が約束できればいいのです。

個人事業主の収入を担保するものとして、決算書以外に金融機関との交渉では取引先の情報が評価のポイントとなります。

大手企業との継続的な取引実績があれば「安定した収入が見込まれる」としての材料として認めていただくこともできるのです。

 

 


最後に



審査についてお話しをさせていただきましたが、解決の糸口を見つけることができましたでしょうか。

住宅ローンの対策は、借りることよりも「きちんと返済できる金額を見積もる」ことが最も大切なことです。住宅ローンは金額が大きいだけに、「人生を左右するほどの影響力」があります。

無理な資金計画は控えて、10年、20年後までも安定・安心できるプランを考えましょう。(執筆者:村井 一則)