(写真: スペインバスク地方の国旗)
サンセバスチャンは、ビルバオからバスで1時間30分ほどです。郊外のバスターミナルから日に何本もバスが出ています。観光客のほとんどが数日の短期滞在で訪れる「避暑地」であり「美食の街」。すぐお隣がフランスということもあり、フランスの香りもぷんぷんしている静かな海辺の街です。
この地方の公共の表示は、ふつうバスク語とスペイン語の両書きになっていますが、一般の方はほぼスペイン語を使用し、バスク語が使いこなせるのは人口の約4割程度だとか。逆に公務員になろうとすると、バスク語を完璧に使いこなすことが必須条件なのだそうです。
先日某TV局のドキュメンタリー番組で、ごくごくふつうのタクシードライバーさんが「街の美食倶楽部(*)」に入会されていて、趣味の時間、クラブのキッチンで腕を振われていうお話が放送されていました。
(*)美食倶楽部:男性中心のグルメが集うクラブ。入会するとキッチン・食器など貸出し自由で仲間とともに自分の得意料理を振る舞い合うそう。女性は入会者の紹介があれば参加可能とのこと。
(写真:コンチャ湾沿いのビーチと家屋)
(写真:丘の上にあるミラマール宮殿)
(写真:岸壁に置かれた地元彫刻家の作品「風の櫛」/山頂にある展望台へのロープウエィ=フニクリフニクラ)
この美食の街、サンセバスチャンの中心部には、数多くのバルがひしめく「バル通り」があります。朝のカフェから昼のランチ、夜のディナーまで幅広い使い方がされています。但し、昼はシェスタの時間あり、夕方は19:30頃から深夜までとかなり遅めにOPENし、毎日観光客から地元の方まで沢山の人で賑わっています。
せっかくなので、バルのシステムについて、少し触れてみます。
カウンターにたくさんのピンチョスが並んでおり、スペイン語ができない場合は、まずはお皿をもらってから好きな串を取り、飲み物をカウンターの方に頼むのが確実です。(カウンターが狭い場合は店の方がとってくれます。)その他、焼き物など火を通す料理は頼んで席へ持ってきてもらいます。混雑しているときは最初に、そうでないときは最後に、まとめて会計してもらいます。ピンチョスは刺さっている串や容器で金額が異なり、回転寿司のように、串を見てスタッフは金額換算をします。
ゴミは基本は床に落とし、落ちているナプキンが多く、混んでいる店はおいしいんだとか。(掃除は最後に一挙にやるのでしょう。アジアの飲食店と同じで合理的ですが、どこもそこまでひどくは散らかってはいませんでした。)
(写真:串、容器の形で値段決めされています)
(写真: バルのピンチョス。こちらのししとうのアレンジが美味。生はお願いすればフリットかグリルにしてくれます)
(写真: 日本でも有名なバスクチーズケーキ バルのメニューにもあります)
ビール(Cerveza)は食事を邪魔しない、軽めで、品質の安定した有名な大手のものが生で供されていることが多く、クラフトビールの生は、バルではたまに見かけるレベルです。
また地球の歩き方にのっているようなお店や、TVで芸能人が行ったようなお店は、びっくりするほど、日本人に遭遇するので、勘を頼りに巡ってみると面白いお店に当たるかもしれません。
私も結局、勘を頼りにしてやっと現地の「La Rubia」のクラフトの生ビールに遭遇できました。
(写真:現地のクラフトビールLa Rubia Cerveza18/70 ラードラ―(レモンビール)とレッドビール)
ここで私が発見したコンビニは、大通りに1軒だけでした。スーパーで出来合いのサラダや総菜もほぼ見かけませんでした。日頃からこんなに充実した料理を、バルでの会話を交わしながら楽しんできたとしたら、あえて出来合いのものを手にする必要などないのでしょう。
本当の意味で、人と食の関係が「豊かな街」だなと感じました。
サンセバスチャンの次は、列車で5時間移動して、バルセロナへ向かいます。