7月上旬に、北海道の岬や峠を見る旅に

行きました。釧路から厚岸に向かい、

あっけし望洋台から見た厚岸湾は霧で

見えませんでした。次に向かった愛冠

岬、濃霧で視界不良。霧多布岬も濃霧。

新垣結衣、生田斗真主演映画「ハナミ

ズキ」のロケ地で有名なアゼチ岬、

ここも濃霧でした。

その後、根室に移動、納沙布岬に行った

のですが、霧で海岸線しか見えませんで

した。美幌峠と屈斜路湖。峠は濃霧で湖

は見えませんでした。霧で有名な摩周湖。

バイカル湖についで世界で2番目に透明

度の高い湖ですが、ここも霧で湖面が

見えませんでした。

旅に出る時は、天候に恵まれ、良い状態

で旅先を楽しむことを期待するものです

が、今回は、雨と霧で目的を果たせない

旅になってしまいました。

旅の後、ふと思いました。天候が悪けれ

ば、旅は本当に残念なもの、台無しに

なってしまうものなのだろうかと。

実は、今回の行き先は、以前、訪ねた

ことがあり、晴れた日の岬や峠を見た

ことがあったのです。

だから、今回は、行く先々で「ここは

こんな景色だった。」と記憶を辿りなが

ら、昔、見た岬を思い出し、見えない

景色を夢想する旅となったのです。

旅に出たら、天気は良いに越したことは

ない。しかし、どんなに悪天候でもその

日訪ねた旅先は一度限り、一生に一度の

体験です。見えないものを目を凝らして

見ようとすることも、記憶を呼び戻そう

とすることも、その旅でしか体験できな

い旅の楽しみ方と言えるかもしれません。

今回の旅を「一度しかない旅、これも

また旅なのだ。」と納得できるように

なったのは、自分も旅の回数を重ねて

経験を積んできたことで、どんな旅でも

その旅は二度と経験できないかけがえの

ないものだということを気づかせてくれ

たからだと思います。

今回の夢想する旅がかつての旅と比べて、

決して遜色のない色褪せない思い出に残る

旅となったのですから。

 

 

5月末のある日、美ら海水族館の喧騒を

抜けて、近くにある備瀬のフクギ並木を

見に行きました。

フクギは台風の多い沖縄地方では防風林

として植えられていて、この並木には

樹齢300年を越える木々もあって並木道

を作っています。

この時期は小さな黄色い花が盛りを終え

る頃で静かな並木道がよりいっそう静か

に感じられました。観光客は他に一組

しかいませんでした。

どこまでも静かに道が続いていて、角を

曲がったところの道端で、猫が昼寝を

していました。

猫が通りで寝ているほど人がいない。

三線の音も聞こえてきて、練習中なので

しょうか、時々音がはずれて、それが

並木道の静かさを際立たせ、穏やかな

雰囲気をよりいっそう穏やかにして

いました。国際通りの夜の賑やかさも

楽しいけれど、歩いている人も少なく、

外れた音がする曲を聴きながらのんびり

並木道を歩くのも悪くないなと思いま

した。

フクギは福木と書くそうで、ここを歩い

たら福が来るよ、と駐車場のおばあは

言っていました。

来ますかね。待ってみます。

 

沖縄本島の東側の海中道路を抜けて南下

したところに浜比嘉島があります。

浜比嘉島は周囲約7㎞の小さな島で、

ここに、琉球民族の祖霊神といわれて

いる女神「アマミチュー」と男神

「シルミチュー」が祀られています。

ガジュマルの木を抜けて、108段の階段

を上がるとアマミチューとシルミチュー

が暮らしていたという洞窟があり、霊石

が祀られています。

ここには、子宝、豊穣、無病息災、子孫

繁昌を願って、県内外から多く参拝客が

来るそうです。アマミチューの墓の手前 

では地元のおばあが小さな屋台でモズク

を売っていて、その横では店番の猫が

昼寝をしています。

5月の梅雨入り前の快晴の日の午後、この

日は参拝客が少なく、あまり売れ行きが

良くなかったのでしょうか、聖地には、

その日の朝に採れたモズクを日がな一日

のんびりと売っているおばあと猫がいて、

穏やかでやさしい時間が流れていました。