話し合いから数日、戻ってきてくれる気配はない。

価値観の相違、簡単な一言だとわたしは思った。子どももいない二人の問題であればそれでも良いけれど、子ども三人もいて、今更価値観を全面に取り出されても受け入れられない。

加えて、わたしたち夫婦は当時2歳になったばかりの末っ子がいる中、共に仕事に忙殺され二人の時間をとれていなかった。平日は疲れ果て話し合う間もなく寝てしまう、休日は平日居ないパパが子ども達に甘え、彼も子どもの好きなようにさせるのが基本だから子どもたちも夜更かし。結果二人で過ごす時間がなかった。

だからこそ、初めから違う二人、それでも相手の良いところに魅力を感じて結婚し、子ども三人もうけて十数年の歳月を過ごしてきた。

これは価値観の相違なのか?時間の共有問題が起因する価値観の相違だとわたしは思った。価値観の相違を避けるべき、二人で過ごす時間をもち、夫婦辞典を話し合いながらつくり、お互いの価値感を理解、尊重しながら家族として歩み直したい、そう伝えた。話し合いは終始和やか。けれど、彼はあくまで離婚のスタンスを変えなかった。

それでも、わたしは価値観の相違であればやり直したい、そう強く願い、戻ってきて欲しい気持ちを伝えた。相変わらずの既読スルーが続くため、義母と義父の家まで相談しに行く。その時、おばあちゃんからも追い出しちゃいかん、そう怒られ改めて深く反省。義母と義父の協力もあり、三週間後ようやく彼から帰ってくると連絡がある。

その間、彼からは子どもは連絡が一切なかった。わたしのせいで、子どもまで父親に無視をされているようで申し訳なかった。また、子ども三人を一人で見ながら仕事、そして犬の散歩をこなすわたしは疲弊しきっていた。帰宅の連絡を受け、ほっとするのも束の間、帰宅する日は飲んで遅くなるから実家に泊まる。と、その次の日は祭りの手伝いでまた遅くなるから。と。わたし、そしてパパを待つ子どもの気持ちを汲み取らないような彼の行動に腹立ちはしたが、こんなひどいのは彼ではない、と信じた。そして帰ってきてくれた日、笑顔で彼を向かい入れた。