野球放浪記『百聞不如一見』 -71ページ目

夢の続きをもう一度見たい

野球放浪記『百聞不如一見』-120330_1158~02.jpg

野球放浪記『百聞不如一見』-110325_1610~02.jpg



画像は過去のセンバツのものです。


その昔、青いハンカチで顔を拭う1人の投手が世間の反響を呼びました。斎藤佑樹投手の早稲田実と田中将大投手の駒大苫小牧の決勝戦は大熱戦でした。


でも自分のイメージとは違っていました。さらに遡り、松坂大輔投手が甲子園を沸かせていた頃、準々決勝で横浜-PL学園の球史に残る大激戦がありました。


ぼくにとって大阪桐蔭-光星学院の決勝戦は、それに匹敵するくらいの好カードでした。


光星学院の金沢投手は本来の調子ではありませんでした。四死球も多く、味方のエラーも絡み、序盤からピンチの連続でした。


1回裏の二死満塁は笠松選手をサードゴロで、3回裏、無死満塁の絶体絶命のピンチは田端選手をサードゴロ。大杉選手が三塁を踏んで封殺、本塁送球で三塁ランナーを挟み併殺。安井選手が四球のあと、笠松選手をファーストファールフライに打ち取りピンチ脱出。必死の守りで先制点を与えませんでした。


しかし、先に点を取ったのは大阪桐蔭でした。4回裏、白水選手のソロホームランで先制します。


5回裏にも田端選手、安井選手の連続内野安打で無死1、2塁。笠松選手の三塁線の送りバントが大杉選手の悪送球を誘い、ランナー2人が還り、2点追加。


3点を追いかける光星学院。しかし、そこに立ちはだかるのは藤浪投手。前日に完封した明徳義塾戦よりも出来がいいと思わせるような内容でした。6回までで1安打とほぼ完璧な内容でした。


7回表、6番の武田選手が四球で出塁し7番の城間選手で、この回の攻撃が完了しました。


残されたイニングは2回。もし、7回表も3人で攻撃が終了していたら北條選手に打席がまわってこない可能性もありました。これで北條選手にも打席がまわってくることが確定したのです。


田村選手、北條選手に託して望みを繋ぐという反撃の形は出来ました。あとはこれ以上の失点をしないということでした。


次の1点が大きいというのは大阪桐蔭も重々わかっていたはずです。その象徴的な場面が田端選手の送りバントでした。


4番に送らせても1点を取るという姿勢が見られました。ここも光星学院は無失点に抑え、3点差のまま残り2イニングを迎えます。


しかし、藤浪投手は最後まで崩れることはありませんでした。


8回表を三者凡退、9回表は田村選手の意地のヒットがあったものの、北條選手は藤浪投手の球威に負けてセカンドフライ。最後の打者、大杉選手を空振り三振に取り、藤浪投手の2試合連続の完封勝利で大阪桐蔭が春夏連覇を達成しました。


藤浪投手は150キロを超える直球が武器のひとつです。センバツはスピードに頼りすぎてバランスを崩す印象がありました。


夏は150キロを超える球はありましたが、力みがなくなり、投げるたびに安定感が増したような印象でした。巧みにリードした森選手も見事であります。


この試合でも150キロ超を何度か計測しましたが、ほとんどが北條選手のときでした。北條選手との全力での対決は見ごたえありました。


一方の光星学院。最後まで集中力を切らさず、諦めずに戦い抜きました。またも頂点に立てなかったことは何とも言えない気持ちになりました。


ただ、去年も決勝戦を戦い、新チームとしての始動が一番遅い中、明治神宮大会優勝、甲子園で春夏連続の決勝戦進出、準優勝。強いチームでないと出来ないことであり、立派な成績です。


今大会の決勝戦は、近年においても最もレベルの高い試合だったと思います。こんな超高校級のハイレベルな戦いは、この先なかなか見られないでしょう。


甲子園という特別な舞台での戦いは終わりました。この戦いはもう見られないのかと言うとそうでもありません。チャンスはあります。


それは秋に岐阜で行われる国体です。ぼくは見に行けそうにありませんが、もう一度、このカードを国体で実現させてほしいと願う次第であります。


第15日試合結果
大阪桐蔭3-0光星学院


がんばろう日本!


“new challenges and my new style” NORI

初めて弱い部分を見たような気がした



今大会、最も強烈なインパクトを残した投手でした。注目の打者である光星学院の田村選手、北條選手からも三振を奪いました。


試合に出場した全選手から三振を奪い、今日の奪三振は15を数えました。これで今大会、桐光学園・松井裕樹投手の通算奪三振数は68になり、83個の坂東英二さん、78個の現日本ハム・斎藤佑樹投手に次ぐ歴代3位に名乗りをあげました。


奪三振率に換算すると、坂東さんが12.05、斎藤投手が10.17に対し、松井投手はそれらをはるかに上回る17.00です。驚異的な数字で、その凄さを物語っています。


しかし、松井投手の2012年夏はここまでです。


0-0の状態が続き、8回表に田村選手のタイムリーヒットと北條選手の2点タイムリー二塁打で3点を奪われ、チームは敗れました。


投手には打たれようが抑えようが表情ひとつ変えない、いわゆるポーカーフェイスと感情を表に出すタイプがいます。


松井投手の場合は後者です。「打てるもんなら打ってみろ」と言わんばかりに、まるで相手を見下してる表情だったり、これまで自分の気持ちを表情で表していました。


そんな松井投手に今までに見たことのないような表情をした場面がありました。


失点した8回表、一死1、2塁、光星学院2番の関口選手はショートゴロ。併殺コースでした。


しかし、ショートの二塁送球が逸れ、アウトは二塁封殺のみで併殺が取れずにピンチ脱出とはなりませんでした。(弱い打球で、正確に送球していても併殺が取れたかどうか微妙な打球ではありました)


このとき、たまたま松井投手の表情が映し出されました。ショートを守っているのが後輩の1年生、武選手というのもあったのか、それはどこか「何やってんだ!しっかりしてくれよ!」とでも言いたそうな表情をしていました。


その直後に田村選手、北條選手に連打を浴びました。この2人は、どんな投手であっても怖い打者です。


あのショートゴロで見せた表情は、どこか気持ちに余裕がなかったようにも思えました。


試合終了後は3年生に対して申し訳ない気持ちもあったのでしょう。人目を憚らず咽び泣く松井投手の姿がありました。


これを見たときに「この子は精神面が弱いのかな?」と感じたのも事実です。このあたりが今後の松井投手の課題にもなります。


裏を返せば、まだまだ進化する要素はあるということです。精神面を鍛えれば、もっともっと、とてつもない投手になりそうな予感さえします。


最後、勝って終われるのは全国4000校近くある中の、たった1校だけです。負けて終わるチームがほとんどです。ましてや連続出場すら難しい神奈川の高校です。


来年、例え負けて終わったとしても、ダルビッシュ投手のように涙ひとつ見せずに晴れやかな表情をしてほしいです。


もうあんなに泣く松井投手は見たくありません。いや、泣くんなら斎藤佑樹投手のように勝って泣けばいいんです。


第12日試合結果

光星学院3-0桐光学園
大阪桐蔭8-1天理


準決勝の組み合わせも決まりました。


倉敷商・明徳義塾の勝者-大阪桐蔭

作新学院・東海大甲府の勝者-光星学院


今日の試合で勝ち、センバツ決勝を戦った大阪桐蔭と光星学院の両校が準決勝で顔を合わせることはなくなりました。


予感めいたもの?


ええ、それはもちろんあります。まだどうなるかわからないですけどね。


がんばろう日本!


“new challenges and my new style” NORI


堅守の理由は省エネ野球

野球放浪記『百聞不如一見』-120817_0914~01.jpg



打球はそんなに簡単に飛ぶもんなんでしょうか。


3回戦を終えた時点で本塁打数は40本を超えています。このままだと大会を通じて50本いくんじゃないかというくらいのハイペースであります。


大会第11日。奪三振数で注目を集めるのは桐光学園・松井裕樹投手です。


今日は7回までで奪三振6とペースは抑え気味でした。しかし残りの2イニングのアウトはすべて三振で最終的には奪三振12で3試合連続の二桁奪三振であります。


奪三振数が増えるということは、それだけ球数も増えるということです。


今日は7回までで99球といいペースできていましたが、終盤はフルカウントになる場面も多く、結果的には142球を費やしました。


明日、登板することになると連投になります。球数の多さは気がかりではあります。


第4試合 宇部鴻城-東海大甲府。


この試合のポイントは2つあります。東海大甲府は本多投手から神原投手の継投でした。


2点ビハインドくらいで神原投手への継投なら想定の範囲内だったことでしょう。それがすぐさま渡辺選手の三塁打で追いついて、同点で継投できたのは東海大甲府にとっては優位な展開でした。


もう1つは宇部鴻城の打線が神原投手を攻略できなかったことです。やはりエースから点を取らないとなかなか勝たせてくれませんね。


1回戦の成立学園戦は1時間16分、2回戦の龍谷大平安戦は1時間39分、そして今日は1時間35分と、東海大甲府の試合は非常に試合時間が短いです。


東海大甲府は3試合を戦って無失策です。投手のリズムが悪いと守備にも影響します。この堅い守りは速すぎるくらいのテンポのよさからきてるのでしょう。


それは相手の宇部鴻城も乗せられたように非常に速いテンポで、好プレーも生まれ、非常に締まった試合になりました。


ただ、この非常に早い試合展開は東海大甲府のペースと言っていいかもしれません。


準々決勝以降に対戦するチームは、このペースに巻き込まれないことも必要になってくることでしょう。


例えばじっくり攻めるとかして、相手のペースにハマらないというのも作戦の1つです。


好球必打は鉄則です。キャッチャーの石井選手は感性の鋭い選手です。例えば今日の試合では、相手がストレートにタイミングが合ってると見るや、変化球主体の組み立てをしました。


じっくり見てきていると感じたら初球はど真ん中のストライクを要求するようなリードができる選手なんだと思います。


なので、じっくり攻める作戦は勇気のいる作戦ではありますけどね。次の対戦相手である作新学院がどんな攻撃をするのか楽しみにしております。


第11日試合結果

仙台育英2-3作新学院
桐光学園4-1浦添商
天理6-2浦和学院
宇部鴻城2-3東海大甲府


そして準々決勝の組み合わせも決まりました。


第12日
光星学院-桐光学園
大阪桐蔭-天理

第13日
作新学院-東海大甲府
倉敷商-明徳義塾


こうして見ると近場同士の対戦が多いですね。


23年ぶりベスト8の倉敷商は明徳義塾と対戦。23年前、ベスト4進出を阻んだのは尽誠学園でした。また四国のチームというのは因縁めいたものを感じます。


がんばろう日本!


“new challenges and my new style” NORI