ずいぶん昔に1回読んだような、そうではないような。
創元推理文庫復刻フェアの1品。
この頃の本格推理小説には、独特の雰囲気があって好きですね。
その中でもクロフツは、シャーロック・ホームズとは間逆の普通の探偵というのがポイント。
事件の詳細を聞いた瞬間に真実を当ててしまう名探偵とは違い、彼は一歩一歩地味に捜査を積み上げて真相に迫っていきます。
読んでる方も、フレンチ警部と一緒に謎を追っているような気持ちになれます。

タイトルにこそ、最大の事件とありますが、後にシリーズ化されるフレンチ警部の発登場回。
1人の老人が殺害され、事務所の金庫から現金と宝石が盗まれます。
フレンチ警部は、事件の容疑者である女性を追うのですが、たどり着いた先にいたのは全くの別人。
犯人を手繰る糸が見つかったと思うたびに、彼女はスルリと姿を消してしまいます。
果たして、このトリックがどの程度有効からちと判りかねますが、面白い推理小説を読んだ満足感はあります。

☆☆☆★★