むすこに買い物に付き合ってくれと頼まれた。
妹の誕生石プレゼントを買うために。
ふだんは仲が悪いというか、ひたすらお互いをバカにしあっているくせに、
節目節目のポイントは欠かさない。不思議なものだ。
今年は帽子をプレゼントするのだという。
妹に対しては何のリサーチもしないまま、
むすこはネットで情報を集めて、それプラス妹の着ている服から選ぶという。
傍から見ていると、まるで彼女のプレゼントを選んでいるみたいだなと感心する。
それに比べて親の私は、
思春期の名のもとに交流が激減したのを言い訳にして、
最近のむすめの好みが全く分からない。
まあ基本、むすめ本人からのリクエストされたものを購入してプレゼントするのがスタイルなのだが。
今年はハンドミキサーがほしいとのこと。
いつもだと、もうほしいものまで決められてアマゾンや楽天の画面を見せられるのだが、
今年は特に指定がなかったので、私が調べて選んで贈ることにした。
私の場合、それプラス、
私が贈りたいものをおまけで贈るというやり方をしている。
だいたいが本である。
昨年はむすめに重松清の『きみの友だち』を贈った。
ただし、だいたいむすめの反応は薄い。
しかし今年は何も浮かばない。
それで、むすめが好きなハリーポッターのグッズの置いてある店に行ってみた。
一緒にいたむすこは、ひょいひょいと「これは?これは?」と選んでいく。
百味グミなるものをむすこは選んで「これおもしろいじゃん」と勧めてくる。
遊び心があり、むすめが喜びそうなものを選んでくる彼はすごいと感心する。
しかし、なんかピンとこない。
それで店内を歩き回り、もうひとつむすめが好きなハウルのクリアファイルが目にとまる。
これ、いいかも、と思い、買うことにする。
さて、むすめに渡してきた。
わたしが恐る恐るハンドミキサーの箱の上にハウルのクリアファイルを重ねて差し出すと、
驚いたことにむすめが目を丸くして喜んだのは、クリアファイルの方だった。
「うわぁ、ハウルだ。かっこいい!!」
そんなに喜んでもらえると思っていなかったので、わたしのほうが嬉しかった。
ほんと、ささやかなものにすぎないのだが、
むすめのことを想って、彼女が好きそうなものを選んだことがよかったのかなと思う。
おまけは手紙。
ふだん思っているけど言ってないこと、伝えておきたいことを書いて。