2月21日(日)の0時30分からニコニコ生放送であった「朝までニコニコ生激論」を見たので、それについての意見等々を述べたいと思う。なお、ニコニコ動画にその映像がアップされていたので、詳しくはそちらを参照して欲しい。

朝までニコニコ生激論1/3
朝までニコニコ生激論2/3
朝までニコニコ生放送3/3

上の映像を見てもらえばわかるが、出演している人はみなベーシック・インカムに対して賛成であるため、題名にあるように激論にはなっていない。ディスカッションするには賛成派、反対派の意見があってこそだと思うので、その点は運営側にはよく考えてもらいたかった。ただし、視聴者からの意見(コメント)やアンケートが即座にパネラーに反映されることなどは、本家「朝まで生テレビ」をはじめテレビでは有り得ないことなので、こういう腰のある議論を放送しようとするニコニコ生放送の姿勢は評価したい。次回があることを期待したいところである。

さて、内容に関してであるが、「ベーシック・インカム」つまり最低保証を平等に支給するということが本題であった。自分は恥ずかしながら、その単語自体が初耳であり、単純な説明を聞いただけで、これは社会主義的ではないのかという認識であった。しかし、議論を聞くにつれ、ベーシック・インカムはどちらかと言うと自由主義に即しているのではないかと認識の転換がなされた。ベーシック・インカムとは具体的に言うと、5~7万円ぐらいの生きていくために最低限度のお金を支給することで、貧困層を無くそうという試みである。かと言って恐らく貧困は無くならないだろうが、保証はしているという国側の名目ができ、社会保障に関わる公務員と社会保障費の削減ができるということもメリットとして挙げられる。基礎となる支給の他にお金が欲しいという人は勝手に働けばいいし、最低限の生活で十分だという人は支給だけで生きればよい。即ち今よりも自由主義的になるのである。

議論の中では、これ以上日本は生産性を劇的に上げることは不可能であるとし、労働に対する価値観を変えていく必要がある旨があった。確かに、生産性を上げることは難しいのかも知れないし、産業革命によって労働自体に価値を置いていることは、どこかで大幅な改善・転換が必要だと思う。なぜなら、技術革新をしていけば、工場やコンビニでは作業をロボットが全てを行い、人間の労働は必要無くなってしまうのも近い将来訪れるだろうからだ。労働の価値観はどこかで崩れるだろう。

しかし、いくら機械が仕事の大半を占めたとしても、人間の仕事は皆無にならない。人間だけにしかできないこともあるからだ。助産師、司法、警察、救命、消防などである。さて、仮にベーシック・インカムが導入されて、自主的に働くものが激減すれば、社会はシステムとしてうまくやっていけるだろうか。たぶん不可能と思われる。さらに、今の技術革新は働かされている者でなされていることを忘れてはならない。即ち自ら働く者が少なくなったら、技術的な進歩も停滞する可能性がある。つまり、ベーシック・インカムで社会的な変革をもたらしたとしても、それで、恩恵を受けるのは一部の人間だけで、社会全体、大きくすれば人間の進歩にとって大きな痛手となる危険性をはらんでいる。反論として資本主義も結局は一部の人間が富を握ることになるではないかということも考えられるが、一般には働かなければ生活できないことから、皆が働き、お金という餌があるからこそ、人間にしかできない仕事をやっている。また、ソ連は冷戦時でも共産主義をしながら宇宙や軍事に関する技術革新をしたではないかと考えられるが、ソ連は完全な共産主義であって、今回ベーシック・インカムで想定されているような、資本主義の欠点の穴埋めとは、訳が違うことは認識しなくてはならない。さらには、グローバル化したこの世界で、日本だけがこの様な制度を導入しても、やっていけるのかは不安である。

以上より、近い将来予想される労働への価値の転換は考えなくてはならないが、ベーシック・インカムは不可欠な仕事(上記に挙げたような、社会に不可欠な仕事)をどうするかという具体的な案がしっかりと出てくるまでは、自分は反対である。

新党日本などはマニフェストなどに盛り込んでいるようだが、国会はお金の問題ばかり話をしていて、日本を今後どのような国家にしていくのかというビジョンについての議論はあまりにもしていないような気がする。現職国会議員の中でどれぐらいの人がベーシック・インカムについて知っていて自分の意見を語れるのだろうか。

自分もまだまだ未熟で知識もほぼ無い分野なので、色々調べてみることにする。

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)/山森亮
¥882
Amazon.co.jp

働かざるもの、飢えるべからず。/小飼 弾
¥1,680
Amazon.co.jp