2016年夏期オリンピックの開催地選考で東京が落選して早くも数日が経った。一部報道によると、2020年開催地選考にも東京は手を挙げる様だ。一方で、広島と長崎が共催を目標に準備を進めていることがわかった。アメリカのオバマ大統領の核兵器廃絶に向けた動きに対するノーベル平和賞を受けて、核による被害を受けた2都市が平和を広めるという大義を掲げた。早ければ、来週にも立候補宣言をするとのこと。

それに対して、超有名掲示板「2ちゃんねる」では、こんな書き込みがされていた。
「広島と長崎は、核を売り物にしている」

書き込みをした人は正直何も考えずに書いた可能性が高く、単なる一文に過ぎないが、よく考えると、奥が深い話の様な気がする。

広島と長崎両市は言わずと知れた、原爆の被爆地であり、世界的にも認知されている。その為に、原爆ドームを始めとして当時の状況が生々しく保存されたものが数多く存在し、博物館等でも様々な物が公開されている。そして、両市は平和を世界中に広める為に、毎年イベントが行われ、関心を保持している。これらは、遺族を含めた被爆関係者の為、そして世界平和の為に無くてはならないことは十分承知している。しかし、「被爆地である広島・長崎」というのも全面に押し出し過ぎてはいないか。被爆地だから、見学や観光をしてくださいと‥。原爆という事実が無ければ、ここまで広島・長崎の知名度は世界で高い訳が無い。勿論、先ほども述べたように、両市を訪れることは原爆の悲惨さを知る上で大変重要であることに間違いは無い。しかし、観光の一部となっている以上、その為にホテル業界、おみやげ関連業界などのビジネスになっていることは否定できないのが現状だ。即ち、経済的にも原爆関連に頼らざるを得ない人が全くいないというのは偽りである。

同様に沖縄も同じ様な境遇にある。在日米軍は撤退せよという声が県民から大きい中で、彼らが沖縄に落とすお金や、日本政府からの援助金という名のお小遣いで、沖縄の経済が成り立っていることも否定できない。広島、長崎は産業がある程度発展している為に、原爆ありきということは無いが、沖縄は産業が限定的である為、依存の割合は比較して高くなってしまう。米軍撤退によって平和、安定になると考えることもできるが、それにより、別の意味での崩壊が始まるのである。

平和を求める姿勢や、それを広める努力には敬意を表さなければならないが、平和を求める事が全体にとっての安定や繁栄に繋がるのかと言ったことは精査、熟考すべきである。広島・長崎は原爆以外での魅力でも世界にアピールしなければならないし、沖縄は新たな産業の創出によって米軍に頼らなくても良い経済体制を作るべきだと思う。

ただし、オリンピックの理念と平和への取り組みが一致すると思うので、広島・長崎でのオリンピック開催表明は世界中が注目することとなるだろうし、期待したい。財政面、インフラ面で不十分ではあるが、支持は得られると思われる。