財政に余裕の゙ある大都市は別としても、地方の゙中小都市では共通してこの先に大きな問題を抱えている。
拡大した住民サービスのダウンサイジングは、是非を論ずる前に必然となりそうだ。
今、人口減の゙地方では空家も増えてきていて、現実に消滅する集落も多くある。
かっては食料生産のために拡大して行ったが、安い食料が輸入されるようになった。現在においては社会の基本構造が反転した。
収縮して行く現象は当然の帰結とも言えるが、税収減を伴う。
一旦拡大した広範囲の生活インフラ維持は、地方行政の大きな負担となっている。
人口減と大都市への人口流出もあり急激に縮小を始めた今、地方自治体は広範囲への行政サービスを行う財源を確保できず、困難に直面している。
行政に同じサービスを求めることは出来なくなる。
世界の先進国も同様な問題を抱えているようだ。
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『一つの答え・コンパクトシティ』
この課題への一つの答えとして「コンパクトシティ」が提唱されている。
コンパクトシティに移行することで「安全性」「高度なサービス」「インフラの゙効率化」などの゙メリットが増す。
《コンパクトシティのメリット》
・交通アクセスの最適化、生活の利便性向上
・地域経済の活性化
・行政コストの削減と自治体のサービス向上
・CO2排出削減、地球環境への負荷軽減
・ 高齢者および子育て世帯の生活環境向上
・ 防災対策の最適化
元々、中世ヨーロッパの城郭都市や日本の゙城下町などは、防御目的ではあるがコンパクトシティだった。その郊外に農地が展開していた。
そこで再びコンパクトなエリアに集約して、効率的に住民サービスを行おうとする構想が20世紀末から我が国でも行われてきた。
《コンパクトシティのデメリット》
・人口密集によるプライバシー侵害や近隣トラブルの増加
・一部の人にとって家賃や食費などの生活コストが増加する恐れ
・災害が起きた際の被害拡大
・ 農業離れによる食糧自給率の低下
失敗例も成功例もあるが、中心施設を造っただけより、各種のサービスシステムを構築したところが成功しているようだ。
富山市が成功例として、よく引き合いに出されている。宇都宮の新交通システムも好評のようだ。
《コンパクトシティ計画推進の問題点》
☆抵抗 ⇒ 現状を変えたくない住民は必ずいる。未来に向けて必要なこととの理解を得るには時間がかかる。対話を重ねることで地域に適したプランに練り上げて行ければ良いのだが…。
☆土地権利者が散逸するなどの゙問題もあるので、防災対策などに”理“があれば一定の゙私権制限も可…とは個人的に思っている。
☆財源不足 ⇒ 税収減の中で事業は困難だが、そのまま破綻自治体になるよりはマシ。
収入が減ったり家族が減ればダウンサイジングすることは、各家庭も自治体も同じこと。
☆地域性 ⇒ 例えば地盤の良い高台にある都市は中心部をそのまま活用できるが、地盤の悪い低地では中心部そのものを考え直さなければならない。エジプトの海に沈んだアレキサンドリアの゙二の舞いは避けたい。
津波の恐れある沿岸部も、住居だけは高台への移転が必要。