先日、育児休業中の奥さん(現在、正社員としてとある会社に在籍中)に関する質問をいただきました。





「現在は(妻が)育児休業中ですが、ゆくゆくは(妻は)会社を辞めようかどうかを考えています。そこで、(妻を)私の扶養に入れようと思いますが、可能でしょうか?」(奥さんは質問者とは別の会社に所属しています。)


扶養に関するものには、通常3種類が考えられます。





(1)会社の「家族手当」


(2)健康保険の被扶養者


(3)所得税・住民税の扶養親族





(1)については、会社によって制度設計が異なるため、会社にて要件を満たすかどうかを確認する必要があります。なお、通常は奥さんは正社員ということで、一定取得があり(奥さん分の)家族手当は支給されていないとのことです。








論点として想定されるのは、「奥さんの所得に関する要件」と「正社員として会社に在籍している奥さんがそもそも対象になり得るのか?」というところだと思います。




(2)については、奥さんは奥さんの会社で健康保険に加入されていると思いますので、その場合は、被扶養配偶者にすることはできません。(健康保険の重複加入は基本的に不可能。)


奥さんが会社を辞めるときに健康保険の資格喪失する場合、あるいは、奥さんが正社員から短時間労働者等の健康保険の加入要件から外れるような場合、それらいづれかのタイミングでだんなさんの健康保険の被扶養配偶者とするしかありません。





(3)については、所得要件しかありませんので、奥さんの所得によっては扶養にできます。通常は奥さんは一定所得があるので、扶養にはしていないと思いますが、育児休職中の場合、基本的に会社からの賃金支給はありませんし、健康保険の出産手当金・出産育児一時金、雇用保険の育児休業基本給付金・育児休業職場復帰給付金は所得扱いになりません(非課税)ので、所得はほとんどないものと想定されますので、扶養にできる可能性が十分にあります。








具体的に言うと、奥さんが会社からの給与収入しかない場合、奥さんの年収が103万円以下の方は奥さんを扶養に入れることにより、税金が一部返ります。


注意点とては、あくまで育児休業中に係る年だけ扶養にすることができるわけであり、職場復帰する年は再び一定収入を得るようになることから、扶養にすることはできません。


扶養にするしないについては、年末調整のときだけでなく、毎月の給与計算においても、所得税計算で扶養人数をカウントしていますので、扶養のままになっていると、次の年末調整で奥さんが扶養でなかった場合は、とんでもない不足額が出てしまいます。





会社の年末調整(再年末調整)に間に合わない場合は、確定申告することでまだ間にあいます。医療費控除等で確定申告される場合はその時でも構いません。なお、確定申告は5年さかのぼり可能ですので、過去にとりこぼしがある場合はまだまだ取り返せます。





ということで、簡単にまとめますと、


(1)会社の家族手当 ・・・ 対象にできるかどうかは制度の要件による


(2)健康保険 ・・・ 奥さん加入の健康保険を資格喪失すれば、


             だんなさんの健康保険の被扶養配偶者になれる


(3)所得税・住民税 ・・・ 育児休業中で所得が一定未満であれば、


                 奥さんが正社員でも扶養にできる





いかがでしょう?(3)についての確認の余地がありませんか?はじめから、もともと奥さんは扶養にしてないので、扶養にするという感覚が抜けてませんか?





なお、育児休業中の方へのアドバイスとしてもう1つ


雇用保険の「育児休業基本給付金」を受給されている場合、職場復帰後6カ月後に、「育児休業職場復帰給付金」を受給することができます。これの要件ですが、会社の在籍が要件であり、職場に復帰したことが要件ではありません。よって、6か月間で労働日数がゼロでも会社に在籍さえしていればもらえます。なので、もらってから会社を辞めるということも可能です。





○育児休業職場復帰給付金の支給要件


  ①育児休業基本給付金を受給していたこと

  ②育児休業の期間中、被保険者として雇用されていたこと

  ③職場復帰後、6ヶ月以上継続して雇用されている




ということで、育児休業中の方、こちらもご検討してみてはいかがでしょうか?


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