例年のことですが、今年も年末調整関係の申告書等が配られ、各個人において記入が終わり、そろそろ給与計算に入る頃です。


しかし今年は異変があります。

それは記入するものの中で、「平成23年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式が変更になっています。それは「住民税の関する事項」というのがあり、所得税控除の対象とならない、いわゆる年少扶養親族を書くようになったのです。


扶養親族のうち、年少扶養親族については「こども手当」の支給と引き換えに、所得税と住民税の扶養控除から外れすことになりました。なので、最近よく耳にするのが、「手取りが少なくなった」という声です。社会保険料(特に、厚生年金保険料の保険料率アップによる)が年々増えていることもありますが、実は毎月の給与における源泉徴収税額が、年少扶養親族に対する扶養控除がなくなったことにより、増額しているのです。特に、賞与については、かなり激しく所得税が増額になっています。


年少扶養親族は所得税・住民税の扶養控除から外れたわけで、私の疑問は、「なぜ、申告書に年少扶養親族の名前を記入する必要があるのか?」です。


総務省のホームページを見ると、以下のことが書いてありました。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/34623.html

※ 年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除は廃止されます(注)が、個人住民税の算定(非課税限度額の算定)等の際に使用するため、年齢16歳未満の扶養親族の方を申告していただくものです。
(注) 所得税は平成23年分から、個人住民税は平成24年度分から適用。


住民税については、年少扶養親族に係る事柄が完全になくなったわけでなく、変に(というと反発を受ける可能性がありますが・・・)残っているというわけです。


従前の考え方であれば、「年少扶養親族=扶養控除の対象」でしたが、年少扶養親族≠扶養控除の対象」という、いままでにない考え方が発生したわけです。すなわち、「年少扶養親族」という言葉は無くなったかもしれないけど、「年齢16際未満の扶養親族」という表現に置き換えられ、さらには、「扶養親族だけど、扶養控除はしない」ということになったわけです。でも、非課税限度額の算定でその情報が欲しいというわけで、新たな管理が必要になったわけです。


給与システムの源泉徴収票発行においては、源泉徴収票の摘要欄に印字する対象者は「扶養控除の対象となる扶養親族」を印字していましたが、これでは年少扶養親族(表現が変わって、「年齢16際未満の扶養親族」)は印字されませんので、印字することを考える必要が出て、それでかつ「(年少)」と入れる必要があるそうです。

あの摘要欄には、人によってはたくさんの情報を印字しないといけないのに、狭い欄にさらに「(年少)」と入れる必要が出てきて、システム改修がかなり面倒なことになっています。


システム改修の面倒さというのは、言い換えると「制度の複雑さ」です。非課税限度額の算定の際は、年少扶養親族としてカウントするという一種の特例を残したということになると私は考えますが、ここの事実が初めから分かっていれば、システム改修の仕方も変わっていたと思います。


管理している16歳未満の人は、大半が扶養親族であるとは思いますが、人によっては世帯同居はしているけど、わけあって扶養親族ではない、という場合もあるわけで、そのまま印字するわけにはいかないのです。


以前は、「12月に生まれる子供は、年末調整で税金がたくさん返ってくるので親孝行」とよく言ったものですが、今や昔の話となってしまいました。


来年度の年末調整では、介護保険料控除が新設されるなど、どんどん制度が変わっていくことになります。

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