【ニュース記事】ITベンダーの営業担当者は、技術資格を取るべきか? | 飯島法久の毎日がプロジェクトマネジメント!

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IT業界のプロジェクトは技術の進歩やビジネス要求の変化に伴い、複雑化・複数同時進行型に変化しています。
そんな背景の中、益々プロジェクトマネジメントの重要性が問われるようになりました。弊社はプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング企業です。

『ITベンダーの営業担当者であれば、
少なくとも「基本情報技術者」は取得すべきである。』


こんな記事が載っていました。

(参考)ベンダー営業:基本情報技術者は必須、ITコーディネータに人気集中




ITベンダーの人事担当者が、営業担当者に「取得させたい」資格と、ITベンダーの営業担当者が「取得済み」または「取得したい」資格の1位と2位が、同じ結果になっています。



その資格とは、
「基本情報技術者」「ITパスポート」




「ITパスポート」は、所謂昔の「初級シスアド」です。

確かに、余裕があれば、受けて損はしない資格だと思います。
技術知識は、無いよりあった方が良いですからね。

そして、SEの仕事の大変さも分かり、一石二鳥と言ったところでしょうか。


因みに僕は、ソフトウェアよりネットワーク寄りなので、資格で言うと、CCNAとか.comマスターとかですけどね。




ただ、個人的には、それで人事査定の参考にするのは、どうなのかと思います。

確かに、スキルレベルが分かりやすく、査定しやすいのは分かりますが、
それはあくまで、人事評価という視点からであって、本当の人材価値とは違うのではないか、と考えました。

本来、営業の仕事とは、「どれだけ受注出来るか」にあるはずだから。



まあ、何れにしても自分の得意なことに集中した方が良いと思いますけどね。


「営業もSEもそこそこ」というのは、あまり価値が無い気がします。

それより、「技術知識は無いけど、メチャクチャ営業力がある」とか、「コミュニケーションは下手だけど、技術力はすごい」という方が、僕にとっては魅力的な人材に映りますね。




この記事の中で、更に気になったのが、次の部分。


『ITベンダーの人事担当者が営業担当者に取らせたい資格の1位は、「SAP認定コンサルタント」(13.9%)である』



はっきり言って、何を考えているのやら、、
と僕は思います。


「コンサル」という認定資格を持つことで、顧客へのロイヤリティと信頼性を高めたいのは分かりますけど、僕はSAPコンサルになったからと言って、別にコンサル力が高まるとは思わない。

それは、「MBAを取れば、経営が上手になる」と言っているのと同じでないの?と思ってしまいます。




僕の経験上のお話で恐縮ですが、MBA取ったからと言って、必ずしも優秀な経営者になれるわけでは無いと思いますよ。

勿論、知識や経験として持っていて損は無いですがね。

そういう意味で言うと、「人間力」を高める方が、優秀な経営者の条件だと思います。

論理だけで人が動くわけではないでしょう。
人を動かすのは、必ず「感情」なのですからね。



ですから、顧客への提案力を高めたければ、真剣に顧客の経営問題と向き合う「共感力」と、適切なアドバイスが出来る「問題解決能力」を磨く方が、よほど営業担当者としての価値は高まる、というのが僕の考え方です。


業界では、営業とSEのキャリアを融合しようとする動きが一般的ですが、僕は違和感を感じますね。

何故なら、優秀なSEだからと言って、優秀なITコンサルになれるわけでは無いのですから。
営業も然り。


でも、これらの職種の上位キャリアとして、ITコンサルという職種を位置付ける傾向が強い気がします。

でも、コンサルは、また別の能力とスキルだと思いますよ。



同様に、営業担当のキャリア形成のために、技術系資格を推奨したところで、実際の売上につながる可能性は低いのでは無いでしょうか。

既存顧客の満足度は向上するかもしれませんけどね。


技術知識は、個人の営業担当が、自分の責任の範疇で学べば良いと僕は考えています。

技術に強い営業になりたいかどうかは、企業の戦力としてよりも、個人のキャリアデザインとして選択するべきかどうかを考える、優先順位なのでは?


「教育」として推奨するなら、「営業力」を高める投資をした方が、遥かに投資効率が良い気がするのは、僕だけでしょうか。



限られたリソースの中で、結果を出すのがビジネスってもんじゃないんですかね。

本来、売上を上げるのが営業担当の仕事なのだから、どうせ教育に投資するのなら、「マーケティング」とか「ロジカルシンキング」とか、直接パフォーマンスアップにつながるような育成の方が、現実的では無いか?と僕は考えますが、IT業界は、相変わらず営業力の無さを「知識」のせいにする風潮が、あるのでしょうか。



ホント、IT業界の人事担当は、会社に必要な人材を分かっていないなぁ、と思いました。

営業担当と取りたい資格についての意見が一致するのは、単純に人事担当やキャリアカウンセラーなどがクチを揃えて言うもんだから、鵜呑みにしているだけでしょう。

多くの人は、資格を取れば会社での評価が上がりそうだから、目指すに過ぎないんです。

でも、資格がきちんと給与に反映される仕組みを作っている会社って、どのくらいあるんでしょうかね?


僕は、そんな会社をあまり知りません。
僕が無知ならば、ご指摘ください。



資格が給与にあまり反映されないならば、貴重な時間を資格に投資する優先順位を、僕は高く設定することは出来ないですね。

そういう意味で、SEがMCSEなどの業務に直結する資格を取得するのとは、同じ視点で営業担当の資格を見るべきではない、と考えます。

サラリーマンとしてつぶしが効くように、キャリア分散を考えてるのなら、ともかく。



これは、技術知識を軽んじている訳ではありません。
ただ、そこまで拘る必要があるか、という問いに対する、僕の答えは「NO」だというだけです。



そんなことを考えた記事でした。
皆様は、どのようにお考えですか?




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