ビシケクに戻ってきて絶対にしなくてはならない事が一つあった。それは イランビザだ。前回ビシケクを出る前にイランビザの申請だけは済ませておいた。 そして今日、月曜日にもう一度大使館を訪れて、ビザをもらえる事になっている。 スンギュに送ってもらい、朝イチで大使館にやってきた。そうすると大使館の 人は皆、僕の事を覚えていてくれたらしく、話がとても速い。しかも、5日の トランジットビザしか出せないと言っていたのに、「本当はおまえは何日欲しいんだ」と 聞き、僕が「本当は2週間欲しいんだ」と言うと、なんと2週間の トランジットビザを出してくれたではないか。こんなことなら1ヶ月とでも 言えば良かったのかもしれない。どちらにしても、迅速さと良い、柔軟さと 良い、キルギスのイラン大使館は実は穴場かもしれないと思った。しかも ビザ代はたったの5ドルだった。

 イラン大使館のとなりには「子供美術館」というのが在るのだが、なんとそこには 何故かインターネットカフェがある。この前買ったビシケクの地図にもそう書いてあった し、昨日「先生」と電話で話した時もそう教えてくれた。だから試しに行ってみる事にした。そこは インターネットカフェというよりも、プロバイダーで、そのオフィスで会員以外にも ネットサーフィンをさせてくれるという所だった。1時間で8ドルというのはアルマティー よりも高いのだが、何しろプロバイダーで直接やるものだから、とにかく速い。 1時間だけしかいなかったが、かなりいろいろな事が出来て良かった。ただし アルマティーでは自分のメールアドレスにアクセスできて、メールをダウンロード 出来たのだが、ここではいろいろ試みたのだが残念ながらそれはできなかった。

 


スンギュとその息子


 スンギュの家に戻り、今度はみんなで市場に行く。ビシケクの市場はアルマティーよりも 大きい気がした。売っているものはだいたい一緒で、更にスンギュによると値段も 大体一緒なのだそうだ。いつもはただ冷やかすだけなのだが、今回僕らは 買い物に来ている。だから結構真剣だ。トマトの熟れ具合などをしっかり確認しながら 次々に袋に物を入れていった。大量に沢山仕入れたので、僕らの両手はあっと言う 間にふさがった。買い物をするために市場をうろつくというのもまたとても 楽しいものであるという事を知った。
 


ビシケクの市場。活気にあふれている

韓国系の人達も居る

 

昼飯にお手製のフルコギ(焼き肉)をご馳走になったあと、スンギュは仕事にと 出かけてしまい、スンギュの奥さんは掃除や洗濯を始めた。スンギュの友人というのは 結構ナゾで、ただただ、ソファに寝転んでゴロゴロしているだけなのだが、僕も 一仕事をするために外に出る事にした。郵便局に行かねばならなかったのだ。 というのは、最近いろいろな人に物をもらう機会があって、また荷物が大きくなって しまったので、また整理して日本に送るつもりであった。捨てるのは 惜しいが、いらないものというのを取り出すと、だいたい1キロくらいのものが 出てきた。それをもって早速郵便局にむかう。

 ところがまたここで元社会主義国の壁に当たってしまう。苦労して探した窓口で 長い行列を待った挙げ句に返っていた答えは、「ここでは本しか送れないの。 どうしてもそれを送りたかったらあっちの窓口に行って」という素っ気無い係員 の対応だった。そのもう一個所の窓口の人というのは、かなり親切で、それなり に英語も話すのだが、返ってきた第一声は「ここはエキスプレスメールの窓口だから 、そんなものを送るととても高く付くわよ。特にあなたみたいな人とっては とても出せる金額じゃないと思うわ」だった。ちょっと後の一言が 余計な気がしたが、結果的に事実なのでしょうがない。試しに重さを計ると 1.2キロ。それをそのエキスプレスメールとやらで送るとなんと80ドルも するのだそうだ。「タシケントまで行けば、普通郵便でもきっと送れると思うわ」 と言う事だったので、ここで荷物を送るのはあきらめる事にした。

 夜は「先生」の紹介でムラート君というキルギス人に会う事になっていた。 僕は明日オシュというキルギスの南にある街に向おうと思っている。そのことを 「先生」に話すと、彼女は「知り合いがオシュ出身だから、彼に話をきいてみるのは どうか」と提案してくれていたのだ。そして彼と今晩会う事を約束していた。 「先生」に電話をすると彼女も一緒に来るという。「先生」の友人のミナさんと その友人のオノダさんも一緒だった。それから近々結婚するというムラートの彼女 も日本人だ。だから僕らのテーブルはキルギスタンにも関わらず日本人が5人も いるという、なんだか異常なテーブルになってしまった。


 ムラートはアメリカに2年も留学していたそうで、だから英語はとても堪能だ。 そのお陰で、かなり沢山の情報を得る事だ出来た。「先生」達とも沢山の話が 出来た。そしてまたスンギュの家に帰ってくる。最後の夜ということで、ウオッカを 二人で一本空けた。久々に気持ち良く酔っ払う事ができた。
 


陽気に歌うスンギュ