わたしの住んでいる備後福山に、小さな文学館が有る。


ふくやま文学館のHPはこちら
地元出身の作家や縁のある作家、作品を中心に展示している。
そして、何と言ってもその中心は、わたしの敬愛する井伏鱒二である。
井伏鱒二は、1898(明治31)年、現在の福山市加茂町に生まれ、1993(平成5)年に、95歳で亡くなりました。
2013年は、没後20年の記念の年にあたります。
井伏鱒二は、その生涯にわって、ふるさとを愛し、ふるさとを舞台とする多くの作品を書いています。
詩集『厄除け詩集』に掲載されている望郷の詩には、井伏のふるさとへの思いが最も端的に表現されています。
〈「サヨナラ」ダケガ人生ダ〉という訳詩の一節をはじめとして、多くの読者に親しまれている井伏鱒二の詩と随筆の世界を紹介します
【ふくやま文学館HPより】
開催期間は7/5~11/10と知っていて、結構長いのでいつでも行けると思っていたところ、日々の暮らしですっかり忘れてしまっていて、このままだとウッカリ行けずじまいになってしまうかもしれないと思い、少し慌てて行ってきました。

この地元の文学館には、何度か行っているし、井伏鱒二は高校生の時、『山椒魚』を読んで以来のファンであるから、展示自体に目新しい発見は無かったけれど、
気持ちがほっこりする、いい展示でした。
さて、井伏鱒二の詩で最も人口に膾炙しているのは、今回の特別展のタイトルにもその一節が使われている、勧酒を訳したもの。
勧酒 -于武陵-
勧君金屈卮 君ニ勧ムキンクッシ(盃の事)
満酌不須辞 満酌辞スルヲユルサズ
花発多風雨 花発スレバ風雨多シ
人生足別離 人生離別タル
金杯で君に酒を勧めよう
なみなみと注ぐが辞退は許さない
花が咲けば嵐が吹く
人生には別れの多いことだ
こんな、ごつごつとした漢詩が、
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
となるのである。
そして、わたしが1番愛しているのは
逸 題
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
春さん蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿
ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
われら先づ腰かけに坐りなほし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
ミーハーで決め事好きなわたしは毎年、仲秋名月頃に馴染みの小料理屋【D】に行っては、
蛸ぶつを注文し、夏越しして、初めての燗酒を飲む事を長年続けている。


ふくやま文学館のHPはこちら
地元出身の作家や縁のある作家、作品を中心に展示している。
そして、何と言ってもその中心は、わたしの敬愛する井伏鱒二である。
井伏鱒二は、1898(明治31)年、現在の福山市加茂町に生まれ、1993(平成5)年に、95歳で亡くなりました。
2013年は、没後20年の記念の年にあたります。
井伏鱒二は、その生涯にわって、ふるさとを愛し、ふるさとを舞台とする多くの作品を書いています。
詩集『厄除け詩集』に掲載されている望郷の詩には、井伏のふるさとへの思いが最も端的に表現されています。
〈「サヨナラ」ダケガ人生ダ〉という訳詩の一節をはじめとして、多くの読者に親しまれている井伏鱒二の詩と随筆の世界を紹介します
【ふくやま文学館HPより】
開催期間は7/5~11/10と知っていて、結構長いのでいつでも行けると思っていたところ、日々の暮らしですっかり忘れてしまっていて、このままだとウッカリ行けずじまいになってしまうかもしれないと思い、少し慌てて行ってきました。

この地元の文学館には、何度か行っているし、井伏鱒二は高校生の時、『山椒魚』を読んで以来のファンであるから、展示自体に目新しい発見は無かったけれど、
気持ちがほっこりする、いい展示でした。
さて、井伏鱒二の詩で最も人口に膾炙しているのは、今回の特別展のタイトルにもその一節が使われている、勧酒を訳したもの。
勧酒 -于武陵-
勧君金屈卮 君ニ勧ムキンクッシ(盃の事)
満酌不須辞 満酌辞スルヲユルサズ
花発多風雨 花発スレバ風雨多シ
人生足別離 人生離別タル
金杯で君に酒を勧めよう
なみなみと注ぐが辞退は許さない
花が咲けば嵐が吹く
人生には別れの多いことだ
こんな、ごつごつとした漢詩が、
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
となるのである。
そして、わたしが1番愛しているのは
逸 題
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
春さん蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿
ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
われら先づ腰かけに坐りなほし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
ミーハーで決め事好きなわたしは毎年、仲秋名月頃に馴染みの小料理屋【D】に行っては、
蛸ぶつを注文し、夏越しして、初めての燗酒を飲む事を長年続けている。