そもそも、「骨盤を前傾」させることは、「屈曲感覚」ではなく「伸展感覚」だと思います。
なぜなら、「骨盤を前傾」させるためには、胸を張る、お腹を出す、といった、伸ばすような動きが必要となるからです。
一方で、前かがみになってお腹が後にさがってくると骨盤は後傾しますが、これは「屈曲感覚」に近いものだと感じています。


なお、胸を張って、お腹を出した際には、お尻で踵を真下に押さえつけると、「伸展感覚」がより感じられると思います。
また、この時、顎を引きすぎると肩甲骨周辺の筋肉が固まってしまってリラックスできないそうです(前掲「間違いだらけのウォーキング」より)。
顎は少し前に出すことを意識した方がいいと思います。
宮本武蔵も「五輪書」(「水之巻」第二節)で「おとがい(頤=顎)を出す」ことを心がけると書いています。


このような「骨盤の前傾」ですが、普段の生活において立った状態でいる時に、上記したことを意識することで、これから以降に述べる動作が劇的に変わってきます。
普段の生活で立った状態でじっとしている時の代表は、電車やバスなどに乗っている時と思うのですが、その時に、少しでも(ずっと意識し続けると疲れます)意識することを心がけてみてはいかがでしょうか。


また、電車やバスでもそうですし、仕事中には椅子に座っていることが多いと思いますが、この時も、時々意識するだけでもかなり違ってきます。
例えば、椅子に腰掛ける時には、浅く腰掛けて背もたれにもたれかかるのではなく、深く腰掛けて、胸を張る、お腹を出す、お尻で椅子を真下に押さえつける、といったことを時々意識してみましょう。
ちなみに、個人的には立った状態よりも座った状態の方が骨盤の前傾はより意識されるように感じています。おそらくその理由は、立った状態では下肢の筋肉も動員できるのに対して、座った状態では体幹部の筋肉のみが関与することによるものだと感じています。


なお、「骨盤の前傾」には腸腰筋(=大腰筋+腸骨筋:腰の前方あたりにある筋肉)を伸展させる(伸ばす)ことがポイントとなるように感じているのですが、間違っているかもしれません。また、腸腰筋の伸展に関しては、この後の②で「腰を前方に送り出す」際に必要となる筋肉の動きとしてポイントとなると考えていますので、併せてお読みください。


このような「骨盤の前傾」が、自然な状態となったら、この後の②~④を意識して歩いてみましょう。(つづく)