10月の読書メーター
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天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)感想
僕は北アルプスの表銀座という縦走コースを旅していた。西岳の頂に立ち槍ヶ岳へと流れる東鎌尾根へ向かって一気に駆け降りる。すると悲壮な表情を浮かべた女性が立ち止まっていた。「スマホの充電が残り僅かなんです」槍ヶ岳を諦めて下山しようか悩んでいたたらしい。電気がなくなると山すら登れないなんて、人類の歴史を振り返ると電気なんてない期間の方が遥かに長いはず。そう思うとなんだか変な感じがするけどこれが現実だ。人類がエネルギー依存を克服することはきっとなくて、エネルギーが尽きる未来がやがてやって来るのだろう。
読了日:10月07日 著者:小川 一水

天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫JA)感想
毎朝通勤で通る靱公園で落し物を見つけるのが楽しい。最初に見つけたのは2本の白ネギだった。スーパーで買って帰る途中で落としたみたい。よっぽど慌ててたんだろう。失くしたネギを何で代用したのかめっちゃ気になった。今朝見つけたのは黒い靴下で片方だけ。靱公園のシンデレラはおっちょこちょいみたい。きっと誰しも知らないうちに色んなものを失くしてるんだろうね。じゃあ逆に絶対に失わないものってなんだろうと考えたら、それって過去じゃないかと思った。失いたくても失えないのが辛いところではある。取捨選択できるラゴス達が羨ましい。
読了日:10月20日 著者:小川一水

天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 (ハヤカワ文庫JA)感想
甲斐駒ヶ岳に向かう途中の日野春駅のベンチに座りバスを待っていると、白髪の老人と小さい子供がやってきた。「お弁当もってきたの」とても人懐っこい女の子で僕に話かけてくれた。次に「お父ちゃん…」その女の子が老人をそう読んだ。違和感が表情に出てたんだと思う。老人が僕に言った。「恥ずかしい話ですが71歳で産んだ娘なんです」71歳でも子供が産まれるのか…この後、日本三大急登の黒戸尾根に挑むのだけど、ちょっと不思議過ぎる出会いに戸惑いながらバスに乗り込んだ。この物語も奇妙な話ばかりだけれど現実も奇妙なことはあるみたい。
読了日:10月21日 著者:小川 一水

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