少し前のこと…
朝テレビをつると、日本ではないような殺伐とした景色が写し出されて、何かに向かってお祈りしている人がいる。
振り返ると目も鼻濡らせた初老の外国人がこう言った。
「ディエゴは神になった」

マジか…
この一言を聞いて、ボクもうなだれ全てのヤル気が喪失した。
アルゼンチンの"英雄"ディエゴ・マラドーナがこの世を去ったらしい。
ボクは小学生の頃サッカー部だった。
まぁ…ほぼ勝つことのない弱小チームではあったものの、その頃、ボクはサッカーが大好きだった。
そして当時、世界で最も偉大なサッカー選手はディエゴ・マラドーナで、それは1+1が2だというのと同じくらいに当たり前のことだった。
今でいうリオネル・メッシの様な存在かもしれないけど、もっと圧倒的な英雄だったように思う。
そのディエゴが天に召されたこの日、恐らくアルゼンチン国民ほぼ全員の心にぽっかりと大きな穴が空いただろう。
それに比べるとボクの心に空いた穴は小さいものなんだろうけど…


食べ歩きの方はというと…
久しぶりの北新地で新中国料理 HARAKAWAという人気急上昇中のお店にやってきた。

ダイニングキッチンを囲むような形で広々としたカウンター席が配置されててシェフの調理が丸見えになってた。
この店の名物も酢豚らしい。
ということで特製酢豚ランチ1,000円をお願いすると…

まず前菜盛合せから
前菜から既に1,000円ランチの枠からはみ出てそうな気がする。
ランチで鹿のモツが食べれるなんて!?

スープもよくある大衆食堂的な中華料理屋さんとは比べモノにならないクオリティだ。

となると酢豚の期待も高まる。

堪らず口の中へ…

うんめ〜(((o(*゚▽゚*)o)))♡
満遍なくアンが絡んでるのに、カリカリ食感が残って香ばしい。
また一式セットでお代わりしたいくらい美味かった。


ディエゴ・マラドーナといえば薬物中毒だったり不倫や隠し子とか悪い話も盛り沢山だったりする。なのになんでアルゼンチンでは"英雄"とか"神"として崇めらるのだろうか。
サッカーが上手でアルゼンチンをワールドカップ優勝に導いた功績も凄いけど、それなら日本の澤穂希さんも"神"と崇められても不思議じゃない。

1982年のことアルゼンチンはフォークランド諸島の領有権を巡りイングランドと戦争をして負けたらしい。
それから4年後、アルゼンチンとイングランドはサッカーワールドカップの舞台で衝突することになる。
両者共に絶対に負けるわけにはいかない試合だった。でも当時のアルゼンチン代表メンバーはメディアから"史上最弱"と酷評されてたらしく、そのチームの中心選手が背番号10のユニフォームを纏った若きディエゴ・マラドーナたった。

そしてディエゴはこの試合で2つの奇跡を起こすことになる。
一つ目は「神の手」と呼ばれる手を使ったゴールで、勿論、サッカーは手を使ってはいけないから本来なら反則なんだけど、審判員の角度からは手を使ったように見えなかったみたいで、そのゴールがそのまま認められてしまった。
二つ目が「5人抜き」で文字通りイングランドの選手を5人交わしてからのゴールなので、ディエゴの圧倒的な技術力にイングランドの選手が翻弄されたことになる。
ディエゴは反則技と圧倒的技術力という真逆の方法でイングランドから2得点を挙げ、この試合に勝ちフォークランド戦争でのアルゼンチンの無念を晴らした。
負けた方のイングランドはさぞかし悔しかっただろうけど、この試合から20年後にイングランドのワールドサッカー誌でこの「5人抜き」が史上最優秀得点として掲載されたらしい。

そしてディエゴはその勢いのままにアルゼンチンをワールドカップ優勝に導いたのである。
当時このワールドカップでの若きディエゴの華々しい活躍を見て、涙を流して歓喜したアルゼンチン国民は、彼が天に召されたこの日もう一度同じ涙を流したんだと思う。
アルゼンチン国民はこう思うことでしか心の整理ができないのだろう。
「ディエゴは神になった。」