私の経験から言うと、物事は楽しもうと思えば、どんな時でも愉しめるものよ。もちろん、楽しもうと固く決心することが大事よ。』
 

カナダの東海岸のセントローレンス湾には、プリンスエドワード島という緑豊かな島が浮かんでて、1874年にその島で一人の女性が誕生した。
その人の名はルーシーモンゴメリといい、生後21ヵ月で母を結核で失ってしまい、厳しい祖父母に育てられる日々が続いた。
いつも空想の世界に自分の居場所を作って、妖精達と時間を過ごした。
そんなモンゴメリが大人になって、そんな空想の日々を綴った物語が本になり、それがセンセーションを巻き起こし、やがて世界中の少女の心を捉える。
その小説の名は『赤毛のアン』という。
 

09:30 START 上桐生バス停
『すてきな朝ね。神様がご自分でただ楽しみのために描いた絵のような世界じゃないこと?』
 
赤毛のアンが出版されて100年以上経ったとある平日にボクはこの本を読み始めた。
なんで突然この本を読もう思ったのかはよくわからない。
でも読み始めてしまった。

この本は純愛小説なので、正直、オッさんが熱中できる本でもなかった。
でも10冊も続く長編を読み進めるうちに、ふとした拍子に元気で明るいアンの言葉が聞こえてくるようになってしまった。
『小川ってどんなに愉快なものか考えたことあって?いつも笑ってるんですもの。』
 
『折角の青い空なのに、白い雲が隠してしまいそうだわ。でもわたしそれでもいいの。白い雲で覆われる日があるから青い空が楽しみに思えるんだわ。』
 
赤毛のアンを読んでると、自然豊かな小さな森を散歩したくなった。
100名山とか偉大な山ではなく、もう少し身近で簡単に歩けて、それでいてとても綺麗な場所となると、金勝アルプスがいいと思った。

10:00 落ヶ瀧
『毎日毎日ず〜っと休むことなく水を流し続けるなんて、滝に産まれ変わると大変ね。でも毎日誰かが会いに来て話しかけてくらるなら楽しいと思うわ。』
 
『もうびっくりしたわ。急に現れて尻尾がないのですもの。でも尻尾が何度も生え変わるなんてとても便利ね。』
 
『あら大変!落ちたたら川に流されてしまうわ。その枝にしっかり捕まっててね。』
 
『あらトンボさん。さっきから私に着いてきてくれてありがとう。きっと私の腹心の友になりたいのね。でもそれはダメよ。もしダイアナが嫌な思いをしたら悲しいもの。』
 
『まぁなんて綺麗なんでしょう。きっと夢の国からやってきたのね。賢そうな赤い小さな頭で一体何を考えているのかしら。差し支えなかったら私にも教えてね。』
 
と…
こんな感じで、アンは誰よりもポジティブでお喋りだったりする。
 
アンは両親がいないので孤児院で育った。
そんな少女アンと孤児院から男の子を引き取ることになってたマシューおじさんとの手違いによる出会いから物語は始まる。
 
アンを連れて帰ると姉のマニラの顔色が一瞬っで変わった。男の子がやって来るはずが女の子がやって来たのだ。男の子じゃないと役に立たない。と主張するマニラに対してマシューはこう言った。
『わしらがあの子の役に立つかもしれない。』

12:00 天狗岩
ここからの景色が堪らん。
この場所でこのまま2時間程アンシリーズの続きを読もうかな。

その前に腹ごしらえ。
アスパラとホルモンのカレーうどんを作るつもりだったけど…

最悪だ…。
うどんを忘れてしまった。
なのでホルモンとアスパラのカレー煮込み。
 
因みに、赤毛のアンには色んな料理が登場する。
まぁ殆どが美味しそうなお菓子で、赤毛のアンの料理本まで出版されてたりする。

ただ…ホルモンうどんは出てこないし、ホルモンもカレーもアスパラガスも100年前のカナダで食べられてたのだろうか?

『なんて素晴らしい日でしょうね。こんな日に生きているってだけで幸せじゃないこと?』
 
結局、アンはマシューとマニラに育てられてすくすくと成長する。恋愛して結婚して色んな人の愛のキューピットになり、やがて孤児だった少女は母となる。
 
そんなアンが人生最初に身につけた特技がちょっと面白かった。
8歳でもう3組の双子を育てたらしく、双子を育る事に関しては誰にも負けないみたい。
 
 だからと言って、赤毛のアンシリーズの9冊目まで読み切ったボクに、双子の育て方に関するスキルは一切身についてなかったりする。

いま曲がり角にきたのよ。曲がり角をまがった先になにがあるのかはわからないの。でも、きっと一番良いものにちがいないと思うの。それにはまた、それの素敵に良いところがあると思うわ。その道がどんなふうにのびているかわからないけれど、どんな光と影があるのか、どんんな景色が広がっているのか、どんな新しい美しさや曲がり角や、丘や谷が、その先にあるのか、それはわからないの』
 
14:30 GOAL上桐生バス停
なんかちょっと変てこな一人旅だった。
バスに乗ってるのに、髭を蓄えて馬車に乗るボクの姿がゆっくりとボクの頭の中を通り過ぎてった。

 
結局、一番幸福な日というのは、素晴らしいことや驚くようなこと、胸が湧き立つような出来事が起こる日ではなくて、真珠がひとつずつすべり落ちるように単純な小さな喜びを次々に持ってくる一日一日のことだと思うわ。』
 
帰ったら最後の一冊を読むとするか。