早かったような気もするし…
長かったような気もする。

今から6年前…
息子が通うことになった小学校の校庭の満開の桜並木の中を2人で歩きながらこういったのを覚えてる。
のら「これから大丈夫そうか?」
息子「………。」
この頃の息子はまだ言葉を発したことがなかった。


あれから6年の歳月が過ぎて卒業式の日を迎えることになった。
ボクは久しぶりにネクタイを締め、小学校の体育館に入った。
むむむ…出遅れたみたいで、2人掛のベンチ席がほぼほぼ埋まってるじゃないか!?
見渡すと前の方に一席だけ空いてるのを見つけて座ると隣のお母さんから泣き声が聞こえてきた…

ううう…シクシクシクシク…ずるずるじるり
まだ子供たちが入ってきてもないのに感極まってるっぽい。
だからこの席がだけ空いてたのか。


食べ歩きの方はというと…
肥後橋のジョニーのからあげにやってきた。

息子の大好物は唐揚げなのだ。
ボクはメニューに大人気と書かれたリオ唐揚げ定食750円をお願いすると…

じゃ〜ん!!
めっちゃシンプルな唐揚げ定食がやってきた。

リオがなんなのかよくわからないけど、真丸い形をした唐揚げで、一つのサイズが兎に角でかくて、茶碗と同じくらいのが3つも入ってる。

豪快にカブりつくと…

うんめ〜(((o(*゚▽゚*)o)))♡
外はカリカリで中はふっくら柔らかい。
息子が普通サイズの唐揚げを食べながら…
息子「そんなに食べたら太るよ。」
のら「明日、山に登ってくるわ。」


子供達が入ってきた…
まず1組の生徒。
続いて2組の担任の先生の次に学年で1番頭の良い出来杉君、そして極平凡なボクの息子、最後は息子のクラスのガキ大将ジャイアンが入ってきた。

こんな時期なので、親も子供も皆マスクしてる。
そしてなんか不思議な卒業式が始まった。

まず最初は卒業証書の授与から。
96名の生徒全員が将来について一言うことになってるみたい。
1組に一人だけ息子の友達がいて、野球部でキャッチャーをやっている子でドカベンの様な風貌をしている。
ドカベン「ボクは将来、◯◯電車の運転手になります。」
え…それってお父さんと一緒じゃないか?

そして2組の順番が回ってきた。
まずは親友の出来杉君が壇上に上がる。
出来杉「ボクは勉強して、文章を書く父の仕事を早く手伝いたいです。」
え…出来杉君のお父さんって、もしかして作家さんなのか?

で…ボクの息子の番がやってきた。
一体、何を言うんだろうか!?
ちょっとドキドキしながら耳を傾けた。
息子「ボクは重工業の会社に就職して、いっぱい出世します。」
え…重工業!?
そんなの初めて聞いたけど、いっぱい出世って…(>人<;)

そして…
皆で校歌を歌った。
ただ、その校歌のピアノ演奏がびっくりするくらいボロボロで、気がつくと途中からピアノ演奏がなくなりアカペラの合唱になってた。
広瀬すずさんが歌う"小さな恋の歌"みたいな感じで逆にこっちのが余計に感動してしまうやないか〜い!
歌が終わると…ピアノを弾いた教頭先生が生徒の前にやってきた。
教頭「本間にごめん。m(_ _)m一杯練習したんですけど、ボロボロでした。ごめんなさい。」
でも何人かの生徒は泣きながら「ありがとう」といった。
この教頭先生が頑張って練習してたのをよく見てたらしい。

最後に校長先生が生徒達の前にやってきた。
校長「それでは最後の授業を始めます。」

皆さん。人生とは何でしょうか!?

実はボクはまだよくわかりません。
でもとある偉い哲学者さんがこう言ったそうです。
『人生とはBとDの間のCである。』
アルファベットのBCDな訳ですが、勿論、英単語の頭文字になってます。
BはBirth(誕生)です。
DはDie(死)です。
誕生してから死ぬまでの間にあるこのCはなんでしょうか?

色んな単語がありますよね。
Chance(チャンス)だったり、Challenge(挑戦)だったりもっと他の単語を思い浮かべた人もいるかもしれませんが、その偉い哲学者さんはChoice(選択)だといいました。

卒業してから北中学に行く人もいるし、そうでない中学に行く人もいますね。それも一つの選択ですし、これから色んな選択をしながらそれぞれの人生を歩んでいきます。そしてその選択を失敗することもきっとあるんだと思います。
私の人生なんて失敗だらけなんです。
なので失敗だらけの先輩として、皆さんへ"選択"するときのお願いがあります。

『必ず自分で選択して下さい。』

親が言ったからこうした。
友達が言ったからこうした。
それだと失敗したときにどうしても人のせいにしてしまい、きっと後悔が残ってしまうんです。
だから必ず自分で選択して下さいね。

これで最後の授業を終わります。


めっちゃ深くていい話だ。
これって『強い人になれ』ってことだと思うけど、息子に理解できたのかな?
まだそれほどの人生経験というか失敗を積んでないので今はまだ無理なんじゃないかな。
なのでとりあえずボクのノートに書き残すことにした。

結局、隣の席のお母さんはとずーっと泣いていた。
お母さん「泣き過ぎて本当にすみまん。」
のら「ボクのことは全然気にしないで、遠慮なく泣いて下さいね。」
お母さん「では遠慮なく。ううう…」
教頭先生のピアノ演奏で涙は尽きたっぽいけど、それでもずっと泣いてた。
とても優しい人なんだと思う。


あっ…
そういば卒業証書授与の2組のトリはジャイアンだった。
ジャイアン「ボクは大人気ユーチューバーになって1億人のフォロワーを作ります。」
その夢が叶う頃には、恐らくボクもジャイアンチャンネルのフォロワーの一人なんだろうな。なんせ1億人なので。

因みににボクの息子もジャイアンも今1番好きなユーチューバーはマナル隊らしい。