あと2つだ〜!!!
早くも白口岳、稲星山、中岳、天狗ヶ城の山地を踏んでしまった。
雨が降るとついついハイペースになってしまう。

しかも次の久住山もまた目の鼻の先みたいで、みるみる近づいてきた。

早〜(>人<;)

08:00 久住山 標高1,786m
2時間も前に着いちまったぜ。
周りに居る沢山の人を一人一人チェックした。
勿論、10時に始まる山開きの儀式を見届けようと、2時間待つ覚悟の程を見極めようとチェックした訳なのだけど…

そんな人はいねぇ。⊂((・⊥・))⊃
パシャリと撮影が終わればみんな即刻退散してるじゃないか。

ボクは山開きなるものを見た事がないので、虎視眈々と行事参加を目論んでたんだけど…

やめだやめだ!!
こんな雨の中で2時間も待ってられねぇ。

なんの未練もないはずなのに…
ボクの頭の中に流れたBGMはアミンの"待つわ"だった。
懐かしい。

どんよりとした空…

シトシトと降り続く雨…

何故かボクは高校時代のことを思い浮かべてた。

ボクのクラスは一クラスだった。
30人程が同じクラスで入学して、その30人が同じメンバーでそのまま2年生になり、また翌年に同じメンバーでそのまま3年生になった。

因みに担任の先生も3年間ずっと同じだった。
皆から"タッちゃん"と呼ばれてた。
とある有名大企業の技術職を辞めて、高校教師になったタッちゃんが初めて受け持つことになったのがこのクラスだった。

最後の頂きを踏んだっ!!

09:20 星生山 標高1,762m
くじゅう17サミッツ達成だ。

金八先生、徳川龍之介先生、鬼塚先生、桜木健二先生…
タッちゃんはそんな熱血タイプの先生ではなく、何かを面白おかしく伝えれるような先生でもなかった。
如何にも技術系らしい寡黙できっちりと教科書通りの面白くない授業をする人だった。
なのでボクはほぼ寝てた。

そんなタッちゃんの趣味はなんと登山だったりする。
なのでタッちゃんが授業で脱線するとしたら必ず登山の話に夢中になった時だった。

ただ…
当時そのクラスに登山好きは"タッちゃん"ただ一人なのだ。
面白味のない授業しか出来ないタッちゃんが脱線したとしても、全く興味のない登山の話するので誰も本腰入れて聞いてなかったように思う。

今思うとできることならタイムマシンに乗って、高校生の自分に逢いに行って、是非ともこうお願いしたい。
『タッちゃんの登山の話はノートにとってタイムカプセルに入れてくれないかね。20年後の君のために!』

夏休みという完全無欠の長期休暇を利用して、タッちゃんは北は北海道、南は九州まで日本中の山を渡り歩いたらしく、その話に全く興味のないボクはやはり寝ていた。

そしてボク達は高校生活最後の日を迎える。
卒業式も終わり卒業証書も頂いた。もう帰るだけだと思ってた…

すると…急にタッちゃんが教科書通りでもなく、登山の話でもない、自分の話を始めた。

タッちゃん「みんな3年間色々あったな。実はボクも色々あってね。みんなに言ってなかったけど、丁度みんなと会った頃にボクは子供を下ろした。自分の子供を生まれる前に死なせてしまった。」
急に泣きながらそう言った。
タッちゃん「妻と別れることが決まった時に、初めての子供が生まれることがわかった。ボクはどうする事もできなかった。こんな状態で生まれるくらいなら生まれてこない方がいいと思った。」
タッちゃんはボロボロと号泣しながら命の尊さと自らの懺悔の気持ちをこれから大人へ階段を登り詰めようとしてるボク達に伝えて、最後にこう締めくくろうとした。

11:00 GOAL 駐車場!?

タッちゃん「実は先月再婚した。妊娠3ヶ月だ。」

え……(`・∀・´)
子供どうこうよりも、ボク達はタッちゃんが元々結婚してたことも離婚したことも勿論再婚したことも全くしらなかった。

本当なら誰か一人くらい"おめでとうございます。"と言うべきだったのかもしれないが、衝撃が凄すぎててウチのクラスだけは誰かのお通夜の様にシーンと静まり返ってた。

因みに新しい奥さんは山でナンパしたと言ってたが、あの寡黙なタッちゃんがナンパしてる姿が全く想像できないので、きっとナンパされたんだと思う。