初めて心療内科を受診してから2年以上たった3月のこと。


主治医はいきなり驚く話をします。


来月、市内に新しく心療内科が開院するから、そこに転院しないかと。


頭がボーっとしていましたし、急に言われても理解できません。


東京で勤務医をしていた先生が、この土地に開業するということでした。


なんだかよく分からないまま、転院は決定し、次回からはそこに行くように言われます。


…サジを投げた?


4月になり、とりあえず新しい医院へ向かいます。


コンビニを改装したような、とても小さな医院でした。


4畳くらいの待合室に、診察室も6畳くらい。

他の患者さんも、他院から転院してきた人ばかり。


振り返ると、このときの私はとっても運がよかったんです。


もちろん当時は何も分かりません。


開業したばかりで診察に力が入っている先生の初めての患者。


なかでも私は、市内で一番評判のいい医院に2年通院していた患者です。


商売上、かなり丁寧に診察されたはず。



それから3年も経たないうちに、この先生は郊外に大きな病院を建て、院長に就任。



いくつもの診察室に何人もの先生。大きな入院施設。


この先生の診察を受けるのはほぼ不可能になります。