「うそつきノーランドはうそつきじゃなかった、な」

しかしホントに空島なんてモンが在るなんてねェ......

「......在ったから俺達ァ此処に居るんだろうが」
「そりゃそうだけどよ......ナンか凄ェよな」

サンジは雲の海に素足を浸した。
自分の知っている海のとは違う、不思議な感触の海水。

「確かにな、......コレも雲、なんだよな」

空だと全部が雲で出来てるのか、とゾロはその海水を手で掬う。



違ェよ.........



一人納得顔のゾロにちらりと目を遣り、サンジはざぶざぶと沖へと歩き出した。







ノーランドは死ぬときまで
うそをつくことを
やめなかったのです







童話にある最後の文章がサンジのアタマを過ぎる。



ノーランドは最後までうそを貫いた
いや、違うな
皆がうそと思ってただけで、ノーランドにとっちゃ事実だったんだ

実際、空島は存在した

ノーランドは真実を貫いた


最期まで





「あまり沖に行くなよっ」

海岸からゾロが叫んでいる声が聞こえる。

背を向けたまま、ソレに応える様にサンジは手を振った。



そして立ち止まる



俺は

嘘を

吐き通す

最期まで



きっと.........



ざばり、と雲の波がサンジに襲い掛かった。
足元を掬われ、そのままソレに呑まれる。



そう

奇妙な浮遊感に包まれてサンジの思考は回る。



ずっと

嘘を

吐き通すよ

ゾロ

テメェに.........



「サンジっ」

慌てた声とざぶざぶと波を掻き分けるオトが近づいてきた。

現実的な浮遊感と共にその両腕で抱え上げられた。

目を開けると、其処には呆れつつも心配している、ゾロのカオがある。



こんな嘘吐きでも、テメェは心配して呉れるんだな



俺達ァ、仲間.........だもんなァ



サンジは全ての思考を断ち切るかの様に、もう一度目を閉じた。