年金を作ったとき、国民もあまり負担する気がなく、管轄していた厚生省(現厚労省)も不真面目でした。厚生省が不真面目だったことは、厚労省の当時の花澤武夫年金課長さんが「厚生年金保険制度回顧録に本音を書いていた次の文章を読むとよくわかります。そして、年金制度は立ち上げの頃から腐っていたのが見て取れます。年金制度に限らず誰も責任を取らない日本は変な国だと思います。(以下抜粋)

……それで、いよいよこの法律ができるということになった時、すぐに考えたのは、この膨大な資金の運用ですね。これをどうするか。これをいちばん考えましたね。この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作ってその理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。

 

何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るくらいの力があるから、これは必ず厚生大臣が握るようにしなくてはいけない。この資金を握ること、それからその次に、年金を支給するには二十年もかかるのだから、その間何もしないで待っているという馬鹿馬鹿しいことを言っていたら間に合わない。

 

……大営団みたいなものを作って、政府の保険については全部委託を受ける。そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうちどんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。貨幣価値が変わるから、昔三銭で買えたものが今五十円だというのと同じようなことで早いうちに使ってしまったほうが得する。

二十年先まで大事に持っていても資産価値が下がってしまう。だからどんどん運用して活用したほうがいい。何しろ集まる金が雪ダルマみたいにどんどん大きくなって、『将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえ。