髪の知らせ | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

普通に考えたらあり得ない話だけど、女性らしき長い髪の毛がいきなり布団から出てきたのだ。




あらゆる驚きや不安を同時に抱えながらも(なぜ、今のタイミングなんだ?)と虫の知らせならぬ髪の知らせを感じたのである?



人妻の友達に「何かあった?」とショートメールを送った。




もちろん返事はなかった。




突然LINEから友達が消えてからもショートメールは数回したがその返信は1度もなかった。




去年の10月末から友達とは一切の連絡は取れなかった。




そんな中でいきなり謎の髪の毛だったので理解することは難しかった。




最後に友達が部屋に遊びに来たのは6年前のことなのだから。




布団はシーツも一式全て新しく買い換えている。




こんな不思議なこともあるもんだなと、もちろん友達からの返信が来ないこともわかっているけど、それでもショートメールを送る行為とは不思議なことなので、それで世界のバランスが取れるような気がした。




しかし、この世界には不思議なことが起こるから不思議という言葉は存在することを知ることになる。




翌日の昼休憩の時にタバコを吸っているとスマホに友達から着信(ワンギリ)があったのだ。




慌てて友達に折り返しの電話を掛けた。




友達はあっけらかんとした元気そうな声で。いま仕事中だから夜に電話するね、と。




10トンの大型車を運転していると笑っていた。




マジか!?と驚くしかなかった。




そして再び喫煙所でタバコを吸って落ち着こうとした。




なぜか再び友達からワンギリがあった。




気にはなったが友達の操作ミスかな?と折り返すことはしなかった。




ちなみに友達がワンギリでこっちから折り返すことがルールになっている。




友達の旦那は大阪人なのでケチらしく電話料金やその電話先を調べるらしい。




布団に横になって足に引っ掛かった髪の毛を摘まんでから引っ掛かることには何かがあることは理解している。




もちろんオカルト的なことかもしれないが、仕事にしてもラッキーのような圧倒的な幸運で乗り切った場面は何度もある。




些細な違和感のような引っ掛かりに耳を傾けることになる。




2度目のワンギリは本当にスマホの操作ミスだろうか?



2度目のワンギリの意味はわからないままだけど、その2度目のワンギリに対する引っ掛かりが思考を続けることになった。




なんで昨日のショートメールの返信はなくて今日の昼間にワンギリだったのだろうか?




なぜ今日なんだ?



もう6年も会ってない。



お互いに年を重ねた。



そういや、そろそろ友達の誕生日も近いよな?



あぁ今月は友達の誕生日か?




ん?いや、違う!!




今日が友達の誕生日だ!!



虫の知らせという言葉が存在するように、髪の知らせという言葉は誕生したのだ。



友達の誕生日のことは完全に忘れていたけど(ごめん)、偶然にも誕生日の前日にショートメールをしたから友達は連絡をくれたのかもしれない。




こんな髪の毛の話をしても友達は信じないだろうけど、結果的には友達と再び連絡を取ることが出来たのだ。




髪の毛に触れると何かが起こるのだろうか?




些細な違和感や僅かな引っ掛かりの感覚に名前はあるのだろうか?



友達の能力なのか俺の何かが目覚めたのだろうか?



(ФωФ)