ナス | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

最先端の医学ってのはさ、それまで正しいとされていたことを否定するじゃないですか。



健康に良いとされてきた食べ物が、最近の研究では実は体に悪影響を及ぼすことがわかったとかね。



ダイエットの効果でもそういう新説みたいなことをよく耳にするから本当のことは体験した人から聞くのが一番の信憑性があるなと。



痛風で仕事を休んでた人がいて、約1ヶ月ぶりに職場復帰したわけですよ。



痛風って最初は足の指から始まって徐々に膝とか患部が上に上がってくるみたいで、その人は膝まで来てたわけです。



その人は南米出身の日系三世になるのかな?



日本のルーツは沖縄で南米のラテン系とのハーフだからとっても陽気で明るい人でよく笑うのよ。


奥さんと娘さん二人は南米に住んでて、その人は日本に出稼ぎみたいな感じで来てて、ずっと一人で住んでるわけなのよ。



やっぱビールが大好きだから飲んじゃうのもわかるし、止めてくれる家族がそばにいないのもあるだろし、娘は大学生で彼氏の写真とか送られて来たのを見たら父親としては心配というかね、そりゃ飲むしかないだろなって思うわけですよ。



まぁ陽気で面白いオジサンなんだけど、現場を2ヶ所掛け持ちしてるときなんかは二日酔いで予定と違う現場に行っちゃうこともあるわけでね。



それで痛風が酷くて、今年は特に台風も連続で来てましたから、そういう気圧の変化だけでも痛むんでしょうね。



1ヶ月ぶりに職場復帰してきたから話を聞くわけですよ。



晴れ上がった時の足の写真とか見せてもらって、その痛いところに注射を打たれた話とかね。



こっちも質問するわけですよ。



これまでも痛風で休んだときには質問すると、ビールのプリン体が良くないって話はしてたけど、頭で理解しててもダメなことってあるから、でも、さすがに今回は本人も反省してると思うのよ。



「やっぱ、ビールがよくないんですか?」



「ビール?んー…ビールはねぇ……(笑)」



「焼酎ならいいんですか?ワインとか?」



「いや、アルコール全部ダメ言われたよぉ」



「タバコも?」



「タバコもお酒もほんとは全部ダメなんだよねぇ(笑)」



「食べ物はどうなんですか?肉とかやっぱりダメなんすか?」



「もぅ、ナスがダメだって言うんだよ!!」



「え!?ナスって痛風にダメなんですか?」



「そうだよぉ!ナスが食べちゃダメだって、あとは全部野菜だけなんだよ、参ったよぉぉ~」



「ナスって野菜じゃないんですか?」



「いやいや、ナスじゃないよぉ、アレだよぉ、アレなんだけ?」



「カボチャ?」



「んー…カボチャ~?カボチャじゃないよ(笑)カボチャ違うよ!!アレだよぉ~」



「え~なんすか?痛風に良くない食べ物ですよね?」



「アレが言ってたんだよぉ、女の、医者がぁ~」


「もしかして…、それって“ナース”じゃないですか?」



「それそれ!!ナスじゃないよ、ナースだよ!!何言ってんだよ(笑)ナースが野菜しか食べちゃダメ言うんだよぉ(笑)」



「ナスはお盆のときに割り箸をさすやつですからね(笑)」



「そうだよぉ(笑)日本語難しいだよ(笑)あれ?栃木にあるのは?」



「それは那須ですね(笑)」



「そうだろぉ?(笑)」





スペイン語→英語→日本語と日常会話が地球規模で迷子になるのである。



まず、医者が間違ったことを言うはずがないと思うので、単純にナスが悪いという最新の学説かと思うのだ。



しかし、言いたいことはそうではないと感じる中で、ナスという謎から、それは麻婆茄子のような、ピーマンの肉詰めのような調理方法について医者がダメだと言っているのではないかな?と。



とにかく頭の中で地球儀をフル回転させる必要がある。



その中で新しい言葉が誕生する。



間違ったり勘違いすることを“ナス”と呼ぶ。



「それは“ナス”ですよ」と。



たった2文字の言葉でも、仕事のミスを指摘する上で最も的確で前向きな言葉になる。



何より笑えるのがいい。



仕事をしていると、本人はまだ足が痛いと深刻な顔で言う。



そこでオジサンに仕事よりも大事なことをぶつけてみることにした。



「そんなに足が痛いんじゃ、踊れないんじゃないですか?」と。



そう言いながら僕の華麗なステップをオジサンに披露すると、それに釣られてオジサンも踊りで返してきた。



「なぁに言ってんだよぉ(笑)まだ踊れるよぉ~(笑)」



オジサンはそう言って笑いながら腰をフリフリと左右に激しく振っていた。



これぞ沖縄とラテン系の織り成す陽気さの真骨頂だと僕は思った。



どんなに痛くても踊ることを忘れてはいけないのだと。