タルるートを召喚する呪文を唱えてみたものの…
…はぁ。
両親の古希のお祝いと、甥っ子の2才の誕生日を同時にやるというダブルお祝い問題が山積みのままなのである。
問題解決への糸口がこんがらがって、もうわけがわからなくなってきた。
僕の現在の心境としては、プレゼントのことを考えるのはやめようと。
ギフトとか英語を使うようになる前にやめとこうと。
そもそも僕みたいな底辺の人間が甥っ子のバースデイのギフトをセレクトするなんてガラじゃないんだよ。
自信がない。
なので出来ることから始めようと。
とりあえずダイエットでもしようかな?と。
だって、ほら、家族で写真を撮るんでしょ?
写真館で家族写真を撮るわけだから、今からダイエットしないと撮影に間に合わないじゃない?
写真ってさ、一生残るもんだもんね。
甥っ子に恥をかかせないように、男前のイケメン叔父さんにならなくっちゃ♪
……なんだろう、女子力の出力する方向性を履き違えてる自分がいるな。
ビジュアルの一点突破だけで行こうとしてるな。
こういうことじゃないだろ!
いかんいかん、ちゃんと考えよう。
でもまぁ家族写真って一種のボケみたいなもんじゃないですか。
椅子に座ったりとか、その肩に手を置いたりだとか家族写真ならではの独特の構図があるわけですよ。
ようするに家族全員でボケるわけですよね。
僕も最後に家族写真を撮ったのは、たぶん僕が二十歳になった時に撮ったと思うんですよ。
当時は僕もまだ若いから家族で写真館で撮影するのが凄い嫌々だったし、撮る意味がわかんねーよって、ただ恥ずかしいだけだったのよ。
それがですね月日が流れて兄貴の結婚式でしたね。
新郎と新婦の生い立ちから出逢いまでのVTRが流れたんですね。
兄貴の赤ん坊の時から学生時代の卒アルに写ってた修学旅行のやつとかが出てきて、そこには結婚式に招待した兄貴の友達とかも当時のまま一緒に写ってるから懐かしくてイジったりして微笑ましい感じで笑うじゃないですか。
その流れで僕が二十歳の時に撮った家族写真がドーンですよ。
そこで初めて家族写真を撮っといて良かったなって思ったのよね。
これは無いよりはあった方がいいなと。
こういうフックが1つ増えるわけですからね。
ちゃんとした家族なんだなって思う人もいれば、いかにもカメラマンから指示されたであろうザ・家族写真っていう構図に対して「真面目か!」って思うと面白いじゃないですか。
兄貴がVTRの素材としてその家族写真をわざわざ選んだことに僕もウルっとくるわけですよ。
ダセェやつ持ってきやがったなと(笑)
だからね、いつか甥っ子が将来、もし結婚する時には家族写真を紹介VTRで使うかもしれないわけだよ。
その時に甥っ子の足を引っ張りたくないなと。
わからんからね、甥っ子が将来どんな女の子と結婚するかはさ。
「アンタの叔父さんアレなんなん?」とか言うタイプの女かもしれないからね。
「アンタの叔父さんってさぁ金持ってないよね?」とかさ。
いや、なんちゅークソ女と結婚する気なんだ甥っ子よ!
叔父さんはそんな女は認めないぞ。
それでも甥っ子が惚れた女ならば仕方あるまい。
あらゆる可能性を考慮しなければ未来とは切り開かれない。
甥っ子がそれでもクソ女と結婚するなら叔父さんとしても出来る限りの努力をしよう。
そんなクソ女を一撃で黙らせるには“イケメン叔父さん”でなければならない。
甥っ子よ、これが叔父さんからのプレゼントだよ。
あとはもう早目に死んで伝説になるしかねえ(涙)
大人になってから写真って撮らなくなったな。
成人式の時の写真もイカれた彼女に破かれちゃったから自分の写真はほとんど残ってない。
まあ男はあんまり写真にはこだわらないもんね。
兄貴の嫁さんも披露宴でのVTRで写真が出てて毎年家族でディズニーランドに行ってたらしいけど、なぜか父親が写ってる写真がないわけ。
兄嫁も家中のアルバムを探したけど父親が入ってる家族全員の写真が1枚もなかったらしいのよ。
たぶん父親が全部撮影してるからなんだろうけど。
それか兄嫁は3姉妹の末っ子だから父親が写真を撮るのに飽きたパターンかもね。
そうなると悪い意味じゃないけど兄貴の友達とか新郎側としては、さっきバージンロードの入場で一緒に歩いてたのは父親じゃないのかな?嫁さんは片親で苦労してきたのかな?って、みんな秘かにそう思ってたらしいね。
甥っ子が産まれてから兄嫁は毎月誕生日と同じ日に季節感のある写真を撮ってるらしいのよ。
甥っ子に被り物させたり、コスチュームだとか背景を変えたりして撮ってるわけさ。
そういうのが好きなんだろうね。
これも親バカみたいに思うことも可能じゃないですか。
暇なのか?とかさ。
でもね、これが僕の為でもあるなって思ったのよ。
人生、何があるかわからないわけだ。
兄嫁が急に亡くなることもあるかもしれない。
交通事故とかだったら兄貴も兄嫁も亡くなってしまうかもしれない。
そしたら甥っ子は俺が育てることになる。
俺が甥っ子を守って一人前の男に育てなきゃいけないわけだ。
だけど、甥っ子も大人になるまでの間に崖っぷちに立つこともいつかは来るわけじゃん。
そんときに自分が甥っ子に言える言葉は限られてると思う。
両親が世界からいないって感情は想像すら出来ないわけだから。
でもさ、兄嫁が残してる写真はあるわけじゃん。
お前はこれだけ愛されて生まれて来たんだぜ!って甥っ子に言えるわけだよ。
死んでも守るってこういうことだと思うのよ。
兄嫁はずっとアルバイトしか経験がないから兄貴は心配してるけど、お金よりも大切なもんを持ってるわけよ。
だからさ、もうプレゼントとかいらないだろ?
うん。
“そーゆー問題じゃない”って女は平然と言うだろうね。
プレゼントは別腹なんだろうね。
嗚呼、困った困った。
ほんとにこまったんが~