遠距離ランドリー物語 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

実家に帰ったときに洗濯機が壊れた話をした。



東芝の洗濯機が壊れたと。



すると兄貴は東芝の洗濯機はダメだと言った。



兄貴の使ってる洗濯機も東芝製のやつで、これまでに4回も壊れていると。



5年保証の保証金額には限度額があるそうで、次に壊れた場合には保証金額をオーバーするから自腹で修理をすることになると。



母親にも実家で使っている洗濯機について話を聞いてみた。



25年も使っているという。



当時のナショナル製の全自動洗濯機がまだまだ現役だと言うのだ。



僕の東芝製の全自動洗濯機は3年と8ヵ月で壊れてしまった。



その前に使っていた洗濯機はアパートのベランダに置いて使っていたのに、引っ越すまでの10年間に1度も壊れたことはなかった。



同じ人間が同じような使い方をしてもメーカーによってこうも結果が違うとは。



東芝の話の流れで、親父が東芝の原発について語り始めた。



東芝がアメリカで原発を作ろうとしていると。



僕は叫ばずにはいられなかった。



「洗濯機すらまともに作れねえやつが原発なんか作るんじゃねーよ!!」と。



職人の世界でも同じなのだが、金に困ったやつは無理して大口の契約を取りたがるのだ。



まさに洗濯機操業なのだ。



どうせすぐに壊れるからね。



修理に来るのがお盆休み明けになることと、近くにコインランドリーがないことを家族に伝えた。



閉鎖的な田舎者の発想としては、不良品を売り付けといて仕事を休める神経が理解できないのだ。



販売店にしても在庫がなければすぐに店頭に並んでる新品の洗濯機だろうと代替えとして持ってくると。



こういう時にこそ販売店の社長の男気が試されるのだ。



この男気や恩義に対して、そこの家族や親戚、ご近所さんも電化製品はそこの販売店で買おうと決めるのだ。



本物の社長ならば自宅で使っている洗濯機を取り外してでも急いで客先に届けると。



田舎の客商売とはそういうものなのだ。



そこまでする必要はないと思うのは都会の発想でしかない。



田舎者の人情とはその恩義として返ってくる金額のスケールが違ってくる。



田舎者ではあるが農家を辞めた大半の家は、その空いた土地にはアパートやマンションを建てたり、会社を経営していたりするのだ。



これが仮に家電付きのアパートやマンションだとして、それらの全ての家電一式を男気を見せてくれた販売店の社長の会社で買い揃えることになるのだ。



もちろん修理に対する圧倒的な信頼があるからだ。



これがメーカーである東芝にも男気を感じたのならエアコン等の大型家電だけでなく、コンセントからスイッチ、電球までもオール東芝製で買い揃えてその恩義を返すのだ。



部屋の数だけでも相当な金額になる。



たった一人の客の満足度をバカにしてはいけないのだ。



大家にはお盆休みはないからね。



当然ながらそれらの信頼とは株式にも直結する。



東芝の洗濯機を買ったせいで僕のお盆休みは潰れてしまった。



5年保証に入ってるので無料で修理にやってくるのだ。



だけど、メーカーが修理にやってきた日に確実に直るという保証はないのだ。



代替えの洗濯機を用意して持ってくることが可能なのかどうかも、客先に修理に出向く部署との連絡が2週間後の順番待ちになっているのだ。



東芝製品は5年保証の意味が何もないのだ。



給料を倍払ってでもお盆休みにも動いてくれる従業員がいないのだ。



いや、違うのだ。



トップのやつが率先して動けば休日出勤だろうと、その男気に賛同するやつは必ずいるのだ。



こんなんでよく原発を作ろうと思うよな。



狂気の沙汰だぜ。



アメリカに日本の恥を晒しに行くのは止めろよ。



日本の洗濯機1台は原発のビス1本に値するだろ。



保証だとか部署だとか作っても総合的に機能してなきゃ意味ないんだって。



どんなに優秀なスタッフがいても誰も責任を取らない環境じゃモノ作りは無理だって。



態度で示してくれよ。



25年も使える洗濯機がある時代に生まれてきたのに、4年も使わないで故障した洗濯機を新しく買い換えるのはバカらしい。



こんな恥ずかしい製品を客に売ったのに2週間後にしか対応できないと言うのだ。



他のお客様にも順番で対応しておりますのでって。



それだけの数の不良品を売り付けてるから順番待ちになってんだろうが!



だったら、あと21年後に販売しろよ。



25年も使える完璧な洗濯機があるんだから、他社の製品だろうと買ってその仕組みを勉強した方がいいよ。



保証期間が過ぎたくらいで壊れるように作れと指示を出すからこうなるんだろ?



じゃなきゃ無理だって。



パナソニック25年
東芝4年



この差はなんなのさ?



とはいえ洗濯機が使えないことにはどうにもならない。



ようするに東芝からの確実に洗濯機が使える日の答えはなかったのだ。



東芝には任せてられないのだ。



首を長くして手洗いして絞って絞って干して、そして乾くのをひたすら待ち続けていればいつの日にか無料で直してくれるという話なのだ。



品質向上の為に音声を録音してますとか、ただの口先だけなのだ。



殿様商売なのだ。



夏場の肉体労働者にとって洗濯機はなくてはならない。



帰ってきてからの手洗いとかしんどいのだ。



天気もずっと雨なのだ。



手で絞ってもなかなか乾かない。



そんな作業着は着たくない。



手洗いのストレスを感じずに仕事だけに専念したいのだ。



東芝は経済活動の邪魔をしてるのだ。



近くにコインランドリーもないし、新しく買い換えるのもバカらしい。



けど、手洗いのストレスは解決しない。



そこで、実家の物置に眠っている母方の祖母が亡くなるまで使っていた形見の洗濯機を兄貴と一緒に引っ張り出してきた。



パナソニックの全自動洗濯機だ。



けれど、祖母が亡くなってから8年もの歳月が経っている。



動かしていない機械とはそれだけでも壊れてしまう。



物置のコンセントにさして洗濯機の電源を入れてみた。



動くのだ。



ちゃんと洗濯機は回るのだ。



持ち主が亡くなっても、パナソニックの洗濯機は暗い物置の片隅で静かに、主の帰りだけを8年もの間ずっと待ち続けてくれたのだ。



社名がパナソニックに統一される前のナショナル製の洗濯機には、当時の名もなき技術者の誇りと魂がちゃんと詰まっているのだ。



作った人の顔も名前もどんな人生だったのかすら何も知らないけれど、あなたの仕事が素晴らしいことに僕は感動している。



あなたの作った洗濯機は今でもちゃんと動いています。



本当に感謝してます。



庭先にある蛇口と繋いで水を入れて試験運転をすることになった。



蛇口と洗濯機を繋ぐホースを買いにホームセンターに向かった。



お目当てのホースはあったのだが、ちゃんと合う規格なのかパッケージに書いてある説明を読んだ。



東芝とNEC以外の洗濯機なら全て合うと書いてあった。



東芝はホースの規格すら緊急時に対応していないのだ。



ホースを買って庭にセッティングして回してみた。



ちゃんと全てが機能している。



洗濯層のカビ取り剤を入れて回し続けた。



排水の水はホースが下水まで届かなかったので、兄貴と二人で洗面器リレーをすることになった。



それからクロネコヤマトに電話をした。



翌日の午前中に集荷をして、明後日の午前中には僕の部屋まで届けるとのこと。



これで輸送の保険100円を入れても4300円で、お盆休みにも関わらずクロネコヤマトはちゃんと時間通りに配達してくれたのだ。



今現在、僕の部屋には洗濯機が2台ある。



ペット可のアパートにペットを飼わずに住んでいて、一人暮らしなのに洗濯機は2台もある。



もはや変態でしかない。



洗濯機の有り難みがよくわかった。



家電を買う基準とは緊急時のこともちゃんと考えて対応してくれる製品とメーカーでなければ、それはただのガラクタでしかない。