のら犬なのら(笑) U^ェ^U
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しっぽ完了

 

しっぽが

 

くるんとなるときと

 

まっすぐになるときってあるよね

 

くるんとなるときは

 

だれかのことをかんがえているとき

 

まっすぐになるときは

 

だれかじゃないことをかんがえていないとき

 

 

えっ?

 

しっぽがない?

 

えっ

 

 

そうゆうひとは

 

しっぽをむねにしまいこんでいる

 

だからだれかがむねをノックすると

 

おっ!と

 

しっぽをふりたくなるのだ

 

 

いいなあ

 

 

えっ?

 

しっぽならあっちにいきましたよ!

 

 

 

ゆきかげ

子どもの日

 

暑かった。

 

 

そんな日なたの道を

 

4歳くらいの女の子が

 

お母さんの手を離れて歩いていた。

 

「ユキちゃんこっち!日陰に入って」

 

とお母さん。

 

 

すると

 

その女の子は

 

お母さんの元には行かず

 

下を向きながら

 

「ユキちゃん、自分の影でいい」

 

と、ひとこと。

 

 

おもわず、影を見た。

 

ちいさな影だった。

 

大人より大きな、ちいさな影だった。

 

 

 

朧月夜

 

 

おぼろげなものが好きだ

 

なんとなく そこにあるのか そこにいるのか

 

それは過去なのか 現在なのか 未来なのか

 

よくわからないけれど

 

 

たんぽぽのように 明るく花をつけて

 

風に 白く透きとおって 空へ飛んでいく

 

おぼろげなものが好きだ

 

いまは どこにいるのか わからないけれど

 

 

どんなことがあっても おぼろげにいる

 

そんな あなたに あこがれて

 

ほら 見上げると 月のように

 

いつでも たしかに そこにいる

 

 

春の空を 見上げれば

 

霞むように わたしの てのひらへ

 

 

 

 

あしたの音

 

 

すずらんの揺れる音が聞こえたから

 

静かに静かに口笛を吹こう

 

なにも揺らさないように

 

 

揺れすぎる僕たちの

 

まばたきがうるさくないように

 

目を閉じると

 

心音がトクントクンと響く

 

 

どうしても

 

どうしても静かにしてはいられない

 

だからせめてもの想いをこめて

 

僕たちは微笑みながら

 

あしたの音を聞くのだ

 

 

きょうは聞こえていなかった

 

あしたの音を

 

 

 

まなざしが光を呼ぶなかで

 

ほら

 

すずらんの揺れる音が

 

 

 

 

 

犬空

 

たくさんの瞳に掻き消されながら

 

青い襤褸を纏った人が

 

アスファルトの上に 倒れ込んで動かない

 

 

こんな日は

 

空のどこが野性なのか わからなくなるから

 

駆けてみる

 

とりあえず 駆けてみる

 

 

 

一人の思い出は 丘の上にあった

 

はるかな地平が 微動だにしないから

 

ただせつなくて 丘を降り

 

たわいもない喧騒の日々に包まれた

 

 

二人の思い出は 空の下にあった

 

繋がれた鎖のような記憶に

 

別れを告げることができず

 

目を閉じれば 陽光が

 

頬に微かな傷をつける

 

 

痛みのある 自分

 

痛みのない 青空

 

 

出逢いはクロスし またクロスし

 

ないものねだりの希望が続く

 

 

いつか見た空に また逢えるまで

 

どれだけの日々が過ぎゆくのだろう

 

 

 

耐えきれずに

 

吠える

 

この空が震えるようにと

 

 

吠えても  吠えても

 

余韻すら残らない 風景

 

 

吠えても 吠えても

 

吠えても 吠えても

 

届かない

 

 

届かない  犬空

 

 

 

 

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