
C.W. VRTACEK
Victory Through Grace (1981)
ここに供される音楽は、どちらかというと表面的なものに過ぎず、いい加減なものとして片づけてしまうのが妥当だと思うけれども、その考え、もしくは表現しようとする音が軽薄であるということを、回り遠く当てこする意地悪さのみが徹底されているという点で、かなり巧妙な音楽だということもできなくはない。浅はかさ由来の空虚さのみを掻き立てる、究極的に虚ろなアルバム。
コラージュされていく様々な音像、それはどこかの民族音楽風に響くものの、単なるでっちあげの産物のような気もしないでもなく、とにかく詳しくは解らない、もしくは解らせないという探りようの無さを聴き手に強要するかのように、あらゆる音、演奏に意味を見出すことができないままアルバムは終わっていく。音の情報量は多いはずなのに、何もないと思わせる技の卓抜さが冴えわたっているため、聴き進めるうち、とうとう不安になってしまう奇妙さ。俯瞰してみればたいへんユーモラスではあるが、気は利いてない。
C.W. Vrtacekは、現在Foever Einsteinというバンドを率いるCharles O'Mearaの変名。80年代初頭からこの変名で自主制作によるアルバムを4枚ほど出している。このアルバムはその1枚目。
The Waters
How They Spoke To The Deaf