認知症ケアの考え方の一つに「パーソン・センタード・ケア」がある。
認知症をもつ人を一人の人として尊重し、その人の立場に立って考えケアを行っていくという考え方でポイントの一例として挙げると、
⚫︎子供扱いしない
⚫︎その場しのぎの嘘をつかない
等がある。
いずれも当たり前のこと。
だけどね、子供扱いすることは介護者の意識ひとつで改善出来たとしても、嘘をつかずしてその場を収めることが毎度出来るだろうか、と。
実際にはないことが、認知症の方には起きているのだから。
「自分にだけ食事が来ない」
→事実:食事後5分も経っていない
「刀を持った侍が何人もいるから様子を見て来て欲しい」
→事実:刀を持った人物はもちろん侍もいない
「家族が自分に会いに来ない」
→事実:最後に面会したのは30分前
等々
こちらにとっては「ないこと」が、相手には「あること」な訳で、事実を伝えることで時に不穏な状態を生じさせることになる。
そうなんですね、と受けとめることが良い場合もあるが、やはり時と場合によるだろう。
記憶が継続しないという特徴があるのだから〝嘘も方便”で良いのではないかと、ご機嫌な様子で過ごされる患者さんを前に思うのだ。
アラフィフ、今日もそろりと生きてます。