私が勤務する職場は、主に認知症患者が療養する病棟。

 

ある日のこと。

 

同居する家族にコロナ感染者が出たということで、急遽休むことになった看護師がいた。

 

経過観察が明けた日、出勤したその看護師は鼻声だった。

 

職場がピリついていたことを、私だけでなく本人も気づいていただろう。

 

翌日、その看護師から、感染した家族が再び高熱を出したので欠勤する旨の電話が職場にあったという。

 

職場はこんな噂で持ち切りになった。

 

「感染したのは家族ではなく本人ではないか」

 

「絶対そうだって!嘘をついているに決まっている!」

 

噂話をしている人たちの中に師長もいた。

 

むしろ中心人物と言っても過言ではない。

 

さて、コロナ陽性を疑われたその看護師の検査結果はどうだったか…検査は1度ではなかったそうなのだが、いずれも陰性だったとのこと。

 

家族の療養が終わり、再び出勤することになった看護師は、その日どんな思いで病棟の扉を開いたのだろうか。

 

私に出来たことは、いや、その看護師に私がしたことは一つ。

 

朝の申し送り前、職員皆が揃っている場で「大変でしたね、❝ご家族は❞もう、すっかり?」と明るく声を掛けたこと。

 

その時の私の思いは、ただ一つ。

 

あなたの居場所は変わらずここにある、という思い。

 

主観で物事を見るには危険を伴う職場である病院。

 

患者さんに対してのみならず、職員に対しても事実に目を向けようよ!!

 

 

アラフィフ、今日もそろりと生きてます。